冬うらら~猫と起爆スイッチ~
●42
顔を洗って着替えを済ませて、身だしなみを整えて。
こっそり分かる範囲だけ、部屋の掃除を済ませた頃――ハルコがやってきた。
「おはよう…」
にっこりの微笑みは、昨日と何も変わらない。
「おはようございます…」
まだ、彼女にはどういう表情を作っていいのか分からない。
昨日の別れ際に、初めて彼女が夫持ちであって、おそらくここにハウスキープらしきことをするために通っているだろうことが分かったばかりなのだ。
正確に、カイトとどういう関係なのかは、まだよく分からなかった。
「あら…昨日と同じ服なの? 別のにすればいいのに」
せっかく色々買ってきたんだから。
そんなメイを見て、少し残念そうだ。
彼女は、困って曖昧に笑った。
ついついいつものクセが出てしまって、まだ全然綺麗なこの服を捨て置いて、次の服を着るなんてことは出来なかったのだ。
いままでずっと、洗濯するのは自分自身だったから。
「朝食、まだでしょう? 彼はいつも朝食は食べないから、それに付き合っていたら美容に悪いわ」
それ以上、服のことを言わないかと思うと、今度は食事に誘うのだ。
あたかも、ハルコがこれから用意をしてくれるかのような口調で。
メイは慌てた。
「あ…そんな、大丈夫です! 昨日の夜のがまだ残ってますから…それを温めていただきます」
自分で出来るということを、アピールしておかないと、このままでは何でも世話になってしまう。
借金を返してもらった上に、身の回りのことまでしてもらうなんて。
そんなバチ当たりなことが、出来るハズもなかった。
せめて、自分のことくらい全部自分でしないと。
いつまで置いてもらえるかは分からないけれども、カイトの側で恩返しが出来る間は、いろんなことをちゃんと出来るようになりたい――怒鳴られない範囲で。
ハルコは、そんなメイの発言に、すごく嬉しそうににこっと笑った。
何がそんなに気に入ったのか、いまの発言を思い出してみても、心当たりはなかった。
顔を洗って着替えを済ませて、身だしなみを整えて。
こっそり分かる範囲だけ、部屋の掃除を済ませた頃――ハルコがやってきた。
「おはよう…」
にっこりの微笑みは、昨日と何も変わらない。
「おはようございます…」
まだ、彼女にはどういう表情を作っていいのか分からない。
昨日の別れ際に、初めて彼女が夫持ちであって、おそらくここにハウスキープらしきことをするために通っているだろうことが分かったばかりなのだ。
正確に、カイトとどういう関係なのかは、まだよく分からなかった。
「あら…昨日と同じ服なの? 別のにすればいいのに」
せっかく色々買ってきたんだから。
そんなメイを見て、少し残念そうだ。
彼女は、困って曖昧に笑った。
ついついいつものクセが出てしまって、まだ全然綺麗なこの服を捨て置いて、次の服を着るなんてことは出来なかったのだ。
いままでずっと、洗濯するのは自分自身だったから。
「朝食、まだでしょう? 彼はいつも朝食は食べないから、それに付き合っていたら美容に悪いわ」
それ以上、服のことを言わないかと思うと、今度は食事に誘うのだ。
あたかも、ハルコがこれから用意をしてくれるかのような口調で。
メイは慌てた。
「あ…そんな、大丈夫です! 昨日の夜のがまだ残ってますから…それを温めていただきます」
自分で出来るということを、アピールしておかないと、このままでは何でも世話になってしまう。
借金を返してもらった上に、身の回りのことまでしてもらうなんて。
そんなバチ当たりなことが、出来るハズもなかった。
せめて、自分のことくらい全部自分でしないと。
いつまで置いてもらえるかは分からないけれども、カイトの側で恩返しが出来る間は、いろんなことをちゃんと出来るようになりたい――怒鳴られない範囲で。
ハルコは、そんなメイの発言に、すごく嬉しそうににこっと笑った。
何がそんなに気に入ったのか、いまの発言を思い出してみても、心当たりはなかった。