冬うらら~猫と起爆スイッチ~

 好きな、色。

 しかし、刹那に翻るのはカイトのグレイの目で。

 灰色はそんなに好きじゃなかった。

 けれど、昨日くらいから、一番好きになった色なのだ。

 ただ―― 灰色が好きとは口に出して言えなかった。

 女性が余り好む色ではなかったし、言ったが最後、ハルコには全部見透かされてしまいそうな気がしたのだ。

「あ…何でもいいです」

 そう答えるのが精一杯。

「何でもいい…は、この家じゃ禁止なの。さぁ、好きな色を言って」

 けれども、ハルコの笑顔は許してくれなかった。

 でも、カイトだってきっと、『テキトーでいい』とか『何でもいいぜ』とか言っているのではないかと思ってしまう。

 それとも、事細かに色指定をしているのだろうか。

「言わないと…シーツの色を灰色にするわよ」

 気がおもーくなるような、ね。

 冗談なのだろうけれども、メイは慌ててしまう。

 好きな色を、見透かされてしまったかと思った。
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