冬うらら~猫と起爆スイッチ~
□
「ちょっと……! そのまんま連れて行く気?」
ボスが、驚いた声をあげる。
いくら男物の背広とはいえ、彼女は下着姿で――その上、外はもう11月も終わり。要するに冬なのだ。
当たり前だろ。
そういう目で、カイトは見た。
もう一秒だって、彼女をここに置いておきたくなかったのだ。
「だって……あー、もう信じられないわね」
オカマは立ち上がると、自分の毛皮を脱ぐなり、彼女に着せかけた。
それはとても長く、ぱっと見に派手な冬装備にしか見えなくなる。
「ほら……アタシからのセンベツよ」
そう言って、まだどうしたらいいのか分かっていない彼女の額をこづく。
カイトはしかめっ面になった。
これまた、どう見ても彼女に似合わないからだ。
「何よ、その目……タクシーの運転手に妙な目で見られたくないでしょ?」
なるほどその通りだったので、カイトはそれ以上のコメントをしなかったけれども。
「あの……」
彼女が何か言おうとする。
しかし、カイトは彼女の背中に腕を回すと、強引に連れ出したのである。
もう、あのボスの方を振り返ったりするヒマも与えなかった。
ランパブを出る。
あの女が、車までの見送りだった。
「あきれたわ……」
タクシーの後部座席に乗り込んだカイトに、そう言った。
「おめーんトコの、ボスの格好よりはマシだろ?」
それが捨てゼリフになった。
「ちょっと……! そのまんま連れて行く気?」
ボスが、驚いた声をあげる。
いくら男物の背広とはいえ、彼女は下着姿で――その上、外はもう11月も終わり。要するに冬なのだ。
当たり前だろ。
そういう目で、カイトは見た。
もう一秒だって、彼女をここに置いておきたくなかったのだ。
「だって……あー、もう信じられないわね」
オカマは立ち上がると、自分の毛皮を脱ぐなり、彼女に着せかけた。
それはとても長く、ぱっと見に派手な冬装備にしか見えなくなる。
「ほら……アタシからのセンベツよ」
そう言って、まだどうしたらいいのか分かっていない彼女の額をこづく。
カイトはしかめっ面になった。
これまた、どう見ても彼女に似合わないからだ。
「何よ、その目……タクシーの運転手に妙な目で見られたくないでしょ?」
なるほどその通りだったので、カイトはそれ以上のコメントをしなかったけれども。
「あの……」
彼女が何か言おうとする。
しかし、カイトは彼女の背中に腕を回すと、強引に連れ出したのである。
もう、あのボスの方を振り返ったりするヒマも与えなかった。
ランパブを出る。
あの女が、車までの見送りだった。
「あきれたわ……」
タクシーの後部座席に乗り込んだカイトに、そう言った。
「おめーんトコの、ボスの格好よりはマシだろ?」
それが捨てゼリフになった。