冬うらら~猫と起爆スイッチ~
□
「そんなこと…」
あんまりカイトを責めるものだから、彼女が慌てて割って入ろうとする。
そうならそうと、言やぁいいだろ!
知るはずのないコトで、どうして責められなければならないのか。
滅多に家で食事をしないせいで、これがハルコの味だのメイの味だの分かるハズもなかった。
確かにソウマなら、毎日ハルコの手料理を食べているのだから、違いの一つも分かるかもしれないが。
乱暴に、肉をもう一切れ切って口の中に突っ込む。
モグモグ。
確かに、辛い。
香辛料がバンバン効いている――うまい。
さっきは、怒りにまかせて食べていたので、本当に味わっているヒマもなかった。
ゴクンと飲み込む。
「カイト…言葉は神様とは言わないが、有能な秘書くらいにはなってくれるぞ」
回りくどく、何をワケの分からないことを、ソウマは言っているのか。
ここで、秘書なんて単語を出すところが、小賢しい。
確かにカイトとシュウだけでは、会社を動かすには問題があり、ハルコを秘書にしないかと持ちかけたのは、この男だった。
彼女は、潤滑油のような働きを見事にしてくれ、会社の成功の大きな一因になったことは確かだった。
もとい。
要するに、ちゃんと言葉で伝えろ、というのだ。メイに。
るせーんだよ! すっこんでろ!
いちいち隣からチャチャが入っては、カイトだって言葉を出しにくい。
いや、こういう時に真顔で『おいしい』と言えるような、潤いのある生活をしてきていないのだ。
「あの…ホントに…」
無理強いをしているような状況を、彼女は止めようとした。
その手元を見れば、まだ料理には全然手をつけた様子はない。
彼が一口食べた後の反応を、まるでじっと見つめていたかのような。
その事実にソウマが気づいていて、自分が気づいていなかったというコトにも腹が立つ。
どうして彼のアンテナは、こんなポンコツなのか。
カイトだって分かっていたら、もっと早く―― 難しかったかもしれないが。
「そんなこと…」
あんまりカイトを責めるものだから、彼女が慌てて割って入ろうとする。
そうならそうと、言やぁいいだろ!
知るはずのないコトで、どうして責められなければならないのか。
滅多に家で食事をしないせいで、これがハルコの味だのメイの味だの分かるハズもなかった。
確かにソウマなら、毎日ハルコの手料理を食べているのだから、違いの一つも分かるかもしれないが。
乱暴に、肉をもう一切れ切って口の中に突っ込む。
モグモグ。
確かに、辛い。
香辛料がバンバン効いている――うまい。
さっきは、怒りにまかせて食べていたので、本当に味わっているヒマもなかった。
ゴクンと飲み込む。
「カイト…言葉は神様とは言わないが、有能な秘書くらいにはなってくれるぞ」
回りくどく、何をワケの分からないことを、ソウマは言っているのか。
ここで、秘書なんて単語を出すところが、小賢しい。
確かにカイトとシュウだけでは、会社を動かすには問題があり、ハルコを秘書にしないかと持ちかけたのは、この男だった。
彼女は、潤滑油のような働きを見事にしてくれ、会社の成功の大きな一因になったことは確かだった。
もとい。
要するに、ちゃんと言葉で伝えろ、というのだ。メイに。
るせーんだよ! すっこんでろ!
いちいち隣からチャチャが入っては、カイトだって言葉を出しにくい。
いや、こういう時に真顔で『おいしい』と言えるような、潤いのある生活をしてきていないのだ。
「あの…ホントに…」
無理強いをしているような状況を、彼女は止めようとした。
その手元を見れば、まだ料理には全然手をつけた様子はない。
彼が一口食べた後の反応を、まるでじっと見つめていたかのような。
その事実にソウマが気づいていて、自分が気づいていなかったというコトにも腹が立つ。
どうして彼のアンテナは、こんなポンコツなのか。
カイトだって分かっていたら、もっと早く―― 難しかったかもしれないが。