冬うらら~猫と起爆スイッチ~
□
「うめーよ!」
ぶすったれた口で、それを怒鳴った。
またしても怒鳴る結果になってしまう。
これでは、無理矢理言ったかのようではないか。
いや、無理に言った言葉ではあるのだが、内容に偽りはない。
「おいおい…カイト」
ソウマも、そう誤解してもおかしくない言い方に物言いをつけてくるが、ギロッと一睨みで一喝した。
どうしても、こういう風にしか言えないのだ。
チクショー! 誤解するならしやがれ!
カイトは、更に肉を刻むと口にかきこんだ。
マズけりゃ誰が食うか、と内心で怒鳴りながら。
「あ…」
けれども。
本当は、彼女の反応が怖かった。
だから、メイの声が聞こえた瞬間、ぱっと顔を上げてしまったのだ。
そうしたら。
嬉しそうに。
本当に嬉しそうに目を細めて笑った。
ソウマの時のように声をあげて笑ったワケじゃない。
いまのこれは、ただの安堵に過ぎないのだ。
けれども、メイは嬉しそうに笑ったのである。
ぽろっ。
フォークを落としてしまった。
ガシャン!
その金属が皿と奏でた最悪の不協和音が、ウサギを逃がしてしまった。
笑顔は一瞬で消えて、驚いた目で何事かと彼を見たのだ。
もう、どこにもあの表情はなかった。
自分の失敗で、大事な一瞬を簡単に壊してしまったのだ。
クソッ。
慌ててフォークを拾い上げてそっぽを向きながら――何事もなかったかのように振る舞おうとした。
しかし、問題だった。
カイトが向いた方のそっぽに、ソウマがいたのである。
ニヤニヤ。
カイトの考えたことは、全てお見通しです、と言わんばかりの目だ。
ムカッッ!!
さすがに、今度の怒りは我慢できなかった。
「…っっ!!」
ソウマが、いきなりもんどり打ってテーブルにのめる。
テーブルの下で、思い切り隣の足を踏みつけたのだ。
「うめーよ!」
ぶすったれた口で、それを怒鳴った。
またしても怒鳴る結果になってしまう。
これでは、無理矢理言ったかのようではないか。
いや、無理に言った言葉ではあるのだが、内容に偽りはない。
「おいおい…カイト」
ソウマも、そう誤解してもおかしくない言い方に物言いをつけてくるが、ギロッと一睨みで一喝した。
どうしても、こういう風にしか言えないのだ。
チクショー! 誤解するならしやがれ!
カイトは、更に肉を刻むと口にかきこんだ。
マズけりゃ誰が食うか、と内心で怒鳴りながら。
「あ…」
けれども。
本当は、彼女の反応が怖かった。
だから、メイの声が聞こえた瞬間、ぱっと顔を上げてしまったのだ。
そうしたら。
嬉しそうに。
本当に嬉しそうに目を細めて笑った。
ソウマの時のように声をあげて笑ったワケじゃない。
いまのこれは、ただの安堵に過ぎないのだ。
けれども、メイは嬉しそうに笑ったのである。
ぽろっ。
フォークを落としてしまった。
ガシャン!
その金属が皿と奏でた最悪の不協和音が、ウサギを逃がしてしまった。
笑顔は一瞬で消えて、驚いた目で何事かと彼を見たのだ。
もう、どこにもあの表情はなかった。
自分の失敗で、大事な一瞬を簡単に壊してしまったのだ。
クソッ。
慌ててフォークを拾い上げてそっぽを向きながら――何事もなかったかのように振る舞おうとした。
しかし、問題だった。
カイトが向いた方のそっぽに、ソウマがいたのである。
ニヤニヤ。
カイトの考えたことは、全てお見通しです、と言わんばかりの目だ。
ムカッッ!!
さすがに、今度の怒りは我慢できなかった。
「…っっ!!」
ソウマが、いきなりもんどり打ってテーブルにのめる。
テーブルの下で、思い切り隣の足を踏みつけたのだ。