冬うらら~猫と起爆スイッチ~
☆
シュウもカイトも、人の心の柔らかい部分を理解しづらい性格だ。
会社を設立すると言った時は、いいコンビではあったが、同時に欠点だらけなのは明らかだった。
人間相手の商売をすると、本当に分かっているかナゾな2人だったのだ。
シュウは数字を見る。カイトは、ゲームソフトの質を高める。
どちらも人間相手の商売には、不向きの感があった。
付き合っていたハルコに、最初の内だけでも2人を手伝わないかと切り出したのは、親心に似ていたというか、兄心に似ていたというか。
彼女なら、きっとエンジンオイルのように人を回せるだろうと思ったのだ。
しかし、いつまでも預けておく気はなかった。
実は。
ソウマも、実は余り気が長い方ではないのだ。
表面上の笑顔で、多くの人が勝手に騙されているだけである。
会社が成功して軌道に乗った途端。
彼はハルコをさらったのである。
そんな自分の話は、そのへんで終わりにするとして。
あのカイトが、女を家に連れ込んだ。
情報の発信源は――ソウマの愛すべき妻である。
遅くなった仕事から帰ってきた彼を出迎えたハルコは、最初から目を輝かせていた。
いつもは静かな彼女のオーラが、「聞いてちょうだい」と騒いでいるのだ。
「カイトが? 本当か?」
上着をハルコに脱がせてもらいながら、ソウマは驚きの声を上げた。
カイトに彼女がいるという噂をすっとばして、いきなり女が家にいたというのだ。
しかも、泊まった気配まで。
「それにね…彼女のためにカードで服なんかを買ってくるように、私に電話までかけてきて」
どんなに凄い事態か、分かるでしょう?
ハルコは、本当に嬉しそうだった。
春遠かった弟のようなカイトに、いきなり降ってわいたピンクの花びら。
それに、大喜びと言った様子だ。
「カードで…それは」
その言葉を言っているカイトの姿を想像すると、ついニヤニヤしてしまう。
カイトのカード――つまり、いい服を買ってこい、という言葉と同義語に聞こえたのだ。
シュウもカイトも、人の心の柔らかい部分を理解しづらい性格だ。
会社を設立すると言った時は、いいコンビではあったが、同時に欠点だらけなのは明らかだった。
人間相手の商売をすると、本当に分かっているかナゾな2人だったのだ。
シュウは数字を見る。カイトは、ゲームソフトの質を高める。
どちらも人間相手の商売には、不向きの感があった。
付き合っていたハルコに、最初の内だけでも2人を手伝わないかと切り出したのは、親心に似ていたというか、兄心に似ていたというか。
彼女なら、きっとエンジンオイルのように人を回せるだろうと思ったのだ。
しかし、いつまでも預けておく気はなかった。
実は。
ソウマも、実は余り気が長い方ではないのだ。
表面上の笑顔で、多くの人が勝手に騙されているだけである。
会社が成功して軌道に乗った途端。
彼はハルコをさらったのである。
そんな自分の話は、そのへんで終わりにするとして。
あのカイトが、女を家に連れ込んだ。
情報の発信源は――ソウマの愛すべき妻である。
遅くなった仕事から帰ってきた彼を出迎えたハルコは、最初から目を輝かせていた。
いつもは静かな彼女のオーラが、「聞いてちょうだい」と騒いでいるのだ。
「カイトが? 本当か?」
上着をハルコに脱がせてもらいながら、ソウマは驚きの声を上げた。
カイトに彼女がいるという噂をすっとばして、いきなり女が家にいたというのだ。
しかも、泊まった気配まで。
「それにね…彼女のためにカードで服なんかを買ってくるように、私に電話までかけてきて」
どんなに凄い事態か、分かるでしょう?
ハルコは、本当に嬉しそうだった。
春遠かった弟のようなカイトに、いきなり降ってわいたピンクの花びら。
それに、大喜びと言った様子だ。
「カードで…それは」
その言葉を言っているカイトの姿を想像すると、ついニヤニヤしてしまう。
カイトのカード――つまり、いい服を買ってこい、という言葉と同義語に聞こえたのだ。