冬うらら~猫と起爆スイッチ~
☆
「しかし…それをお前に言うのが妙だな。彼女にカードを持たせて買ってこさせればいいのに」
ネクタイを緩めると、それも外して渡す。
「そうなのよ…ちょっと不思議なの。彼女の着てきた服らしきものが見あたらないし…あったのは…」
普通の人が着られないような派手な毛皮。
「毛皮?」
犯行現場に残された遺留品リストを聞いた時のような、訝しい声になった。
カイトは毛皮というガラじゃないのだ。
すると、その彼女のものということになる。
「そんなに派手なのか? その相手は?」
少し心配になる。しかし、すぐにハルコは首を横に振った。
「それが…全然。すごく気だてのよさそうな子よ…でも、私がそれを見つけたら、慌てて彼女が取って隠しちゃったの」
だから、彼女のものだとは思うんだけれど。
眉間に薄いシワを寄せて、名探偵ハルコの推理が始まったようだ。
「でもね、本当にいい子よ。洋服を見繕ってきても、悪がって全然受け取ろうとしないし…彼女…ああ、メイという子よ。そのメイは、私が見つけた時、カイトくんのシャツ一枚だったの」
それはもう、奥さんは珍しいくらいに多弁だった。
いつもは聞き役の方が得意のハズなのだが、今日はカナリヤだ。
ぷっ。
吹き出してしまう。
あのカイトが、シャツを女に貸したのだ。
どんな顔で貸したんだか。
頭の中では、目を三角にした仏頂面のカイトがそっぽを向いたまま、横に腕を伸ばして、『着ろよ!』と言っているギャグな姿を想像してしまった。
そのメイとやらの服を、あのランボーがダメにしてしまったんじゃないだろうか。
だから、服を買って来いとハルコに頼んだのでは――
そういう風にソウマは推理した。
ガキめ、ガキめ。
内心でそう呟きながらも、顔がニヤけてしまう。
「しかし…それをお前に言うのが妙だな。彼女にカードを持たせて買ってこさせればいいのに」
ネクタイを緩めると、それも外して渡す。
「そうなのよ…ちょっと不思議なの。彼女の着てきた服らしきものが見あたらないし…あったのは…」
普通の人が着られないような派手な毛皮。
「毛皮?」
犯行現場に残された遺留品リストを聞いた時のような、訝しい声になった。
カイトは毛皮というガラじゃないのだ。
すると、その彼女のものということになる。
「そんなに派手なのか? その相手は?」
少し心配になる。しかし、すぐにハルコは首を横に振った。
「それが…全然。すごく気だてのよさそうな子よ…でも、私がそれを見つけたら、慌てて彼女が取って隠しちゃったの」
だから、彼女のものだとは思うんだけれど。
眉間に薄いシワを寄せて、名探偵ハルコの推理が始まったようだ。
「でもね、本当にいい子よ。洋服を見繕ってきても、悪がって全然受け取ろうとしないし…彼女…ああ、メイという子よ。そのメイは、私が見つけた時、カイトくんのシャツ一枚だったの」
それはもう、奥さんは珍しいくらいに多弁だった。
いつもは聞き役の方が得意のハズなのだが、今日はカナリヤだ。
ぷっ。
吹き出してしまう。
あのカイトが、シャツを女に貸したのだ。
どんな顔で貸したんだか。
頭の中では、目を三角にした仏頂面のカイトがそっぽを向いたまま、横に腕を伸ばして、『着ろよ!』と言っているギャグな姿を想像してしまった。
そのメイとやらの服を、あのランボーがダメにしてしまったんじゃないだろうか。
だから、服を買って来いとハルコに頼んだのでは――
そういう風にソウマは推理した。
ガキめ、ガキめ。
内心でそう呟きながらも、顔がニヤけてしまう。