冬うらら~猫と起爆スイッチ~
☆
なのに。
目の前で見ると、彼女に聞いたのとはまた一段と様子が違う。
カイトが、メイにメロメロなのは一目瞭然だ。
ちょっとした仕事すら、させようとしない。
ソウマが小さなお願いを一つしただけで、何と自分で立ち上がってその仕事をしたのだ。
信じられない光景だった。
あの面倒臭がり代表のカイトが、である。
台所周りのことなど、からっきしダメな男が。
メイが悪がって、小さな仕事でも見つけると手を出そうとするのに、それに気づくや否や『ギャン!』だった。
しかし、あれでは彼女が怯えるばかりだというのに。
本当に不器用な男だった。
この状況を見ると、普通の女とは絶対にうまくいきっこない。
いままでの女とのつきあいが短いものだった理由は、一目瞭然だった。
こいつに。
女に好かれようという努力は、ミクロンもない。
それに気づくと、もうこらえきれなかった。
くっくっくと思わず笑ってしまって、いまにも隣からフォークやナイフが飛んできそうな気配がして、何とか笑みをこらえた。
「まあ、飲め」
機嫌を直させるために、カイトのグラスにワインを注ぐ。
勿論、カイトが彼にワインをつぎ返してくれる――ハズなどなく、ソウマは自分のグラスが空になったままだった。
しょうがなく手酌をしようとすると。
「あ、おつぎします」
向かいのメイが、慌てて立ち上がった。
なのに。
目の前で見ると、彼女に聞いたのとはまた一段と様子が違う。
カイトが、メイにメロメロなのは一目瞭然だ。
ちょっとした仕事すら、させようとしない。
ソウマが小さなお願いを一つしただけで、何と自分で立ち上がってその仕事をしたのだ。
信じられない光景だった。
あの面倒臭がり代表のカイトが、である。
台所周りのことなど、からっきしダメな男が。
メイが悪がって、小さな仕事でも見つけると手を出そうとするのに、それに気づくや否や『ギャン!』だった。
しかし、あれでは彼女が怯えるばかりだというのに。
本当に不器用な男だった。
この状況を見ると、普通の女とは絶対にうまくいきっこない。
いままでの女とのつきあいが短いものだった理由は、一目瞭然だった。
こいつに。
女に好かれようという努力は、ミクロンもない。
それに気づくと、もうこらえきれなかった。
くっくっくと思わず笑ってしまって、いまにも隣からフォークやナイフが飛んできそうな気配がして、何とか笑みをこらえた。
「まあ、飲め」
機嫌を直させるために、カイトのグラスにワインを注ぐ。
勿論、カイトが彼にワインをつぎ返してくれる――ハズなどなく、ソウマは自分のグラスが空になったままだった。
しょうがなく手酌をしようとすると。
「あ、おつぎします」
向かいのメイが、慌てて立ち上がった。