冬うらら~猫と起爆スイッチ~

「あの! わ……私、どうなっちゃうんでしょうか?」

 突然、言うことを決意したかのように、がばっと隣を向いてくる身体。

 いくら毛皮とはいえ、派手に動くと合わせた胸の部分が、見えてしまいそうだ。

 まだ、毛皮の内側は下着だけなのだから。

 カイトは、それがイヤだった。

 早く着替えさせたかった。

 大体、この毛皮も気に入らないのだ。

 高かろうが何だろうが、すぐに焼き捨ててやる。そう決意していた。

 ふぅ、とカイトは大きな吐息をついて。

「別に、どうもなんねーよ」

 答えてやった。

「え……でも」

 身を乗り出してくる。

 彼女の片手が、カイトの膝の上にかかった。

 それを支えに、見上げてくる。

 ズキッッ。

 触れられた部分から、のぞき込まれた部分から痛みが走った。

 うー。

 カイトは、その気持ちに振り回されたのと、うまく答えてやれないことの二重苦でうなった。

 顔も物凄い仏頂面のまま、とりあえずポケットからシワくちゃの紙を取り出す。

 そうして、彼女にくれてやった。

 借用書だ。

「とにかく! もう……おめーには借金はねーってこった」

 恩着せがましいのは大嫌いだった。

 しかし、このくらい言わないと、メイは自分の立場がどうなってるのか、一生分からないような気がしたのだ。

「え……だって……でも……」

 隣で、一人で紙をガシャガシャ言わせながら、オロオロしている。

「こ、これ……受け取れません!」

 ガシャッ。

 いきなり、その紙がカイトのシャツに押しつけられる。

 返そうとするのだ。

 おい。

 不機嫌になりそうだった。

 何のために、アタッシュケースをあのオカマに突っ込んできたと思っているのか。

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