冬うらら~猫と起爆スイッチ~
□48
しかも、帰らねー気か!
食後のお茶など優雅にいただこうとするソウマの襟首を、分かりやすいくらい乱暴に捕まえて――要するに、カイトの我慢が臨界点を突破してブッ飛んだのだ。
「おいおい、いきなり…」
突然の無礼な態度に、彼は眉を上げていさめようとする。
その大人ぶったツラなんか、いまは見たくもなかった。
イチイチ、カンに障る。
「るせぇ! 来いっつったら来い!」
もう、メイの前だからとか、そういうことは考えずに、ただ感情に突っ走ることに決めた。
大体、女一人に左右されるなんて、自分らしくないことの最先端だ。
パリ・モードもまっ青である。
そのまま、無理矢理ソウマを椅子から立ち上がらせると、ダイニングを連れ出したのだった。
メイが、ティーポットを持ったままビックリ顔で見送るのが、ドアを閉める瞬間に目に入って――胸に刃物が掠める。
しかし、キレた勢いの物凄い力でドアを閉めると、そのままソウマの襟首を引っぱった。
「こら…カイト…いい加減にしろ」
強い力で、手がふりほどかれる。
階段の手前で、だ。
ばっと振り返ると、ソウマは襟を直していた。
「引っ張られなくても、ちゃんとついて行くさ…」
襟のボタンのところに指をかけたまま、ソウマはしょうがない、というポーズで彼を見る。
肩をそびやかさないだけ上出来だった。
「それに、ついでにこっちにも話があるからな…おっと、ついでじゃない。大事な話だ」
ソウマは、ふざけた印象をすっと頬の筋肉の裏側に隠した。
イヤなヤツである。
一瞬にして、カイトのキレをつぶすような、マジを入れるのだ。
彼女についてからかいに来たのではなく、実はこっちが本命なのだと言わんばかりだ。
それを丸ごと信用するほど、カイトはおめでたくはなかったが。
しかも、帰らねー気か!
食後のお茶など優雅にいただこうとするソウマの襟首を、分かりやすいくらい乱暴に捕まえて――要するに、カイトの我慢が臨界点を突破してブッ飛んだのだ。
「おいおい、いきなり…」
突然の無礼な態度に、彼は眉を上げていさめようとする。
その大人ぶったツラなんか、いまは見たくもなかった。
イチイチ、カンに障る。
「るせぇ! 来いっつったら来い!」
もう、メイの前だからとか、そういうことは考えずに、ただ感情に突っ走ることに決めた。
大体、女一人に左右されるなんて、自分らしくないことの最先端だ。
パリ・モードもまっ青である。
そのまま、無理矢理ソウマを椅子から立ち上がらせると、ダイニングを連れ出したのだった。
メイが、ティーポットを持ったままビックリ顔で見送るのが、ドアを閉める瞬間に目に入って――胸に刃物が掠める。
しかし、キレた勢いの物凄い力でドアを閉めると、そのままソウマの襟首を引っぱった。
「こら…カイト…いい加減にしろ」
強い力で、手がふりほどかれる。
階段の手前で、だ。
ばっと振り返ると、ソウマは襟を直していた。
「引っ張られなくても、ちゃんとついて行くさ…」
襟のボタンのところに指をかけたまま、ソウマはしょうがない、というポーズで彼を見る。
肩をそびやかさないだけ上出来だった。
「それに、ついでにこっちにも話があるからな…おっと、ついでじゃない。大事な話だ」
ソウマは、ふざけた印象をすっと頬の筋肉の裏側に隠した。
イヤなヤツである。
一瞬にして、カイトのキレをつぶすような、マジを入れるのだ。
彼女についてからかいに来たのではなく、実はこっちが本命なのだと言わんばかりだ。
それを丸ごと信用するほど、カイトはおめでたくはなかったが。