冬うらら~猫と起爆スイッチ~
□
クソッ。
本当に昔の自分なら、とっくにソウマにソバットをかましている。
成長なのか、はたまたヤキが回ったのか――よく分からないから、心の中で悪態をつく。
ソウマの先に立って、カイトはガンガンと足音も荒く階段を昇って行った。
部屋のドアを開けると、既に暖かい。
帰ってきて、まだ一度も部屋に入っていないのに。
おそらく、ハルコが気を利かせて暖房のタイマーでもセットしていてくれたのだろう。
しかし、こんなに早く帰ってくるということを、やっぱり読まれていたような気がして、さらなる苛立ちのパーセントが上がった。
部屋に入るなり。
何の許可も取らずに、ソウマはソファに近付くと腰かける。
昨夜、自分が寝るために転がっていたところ――しかし、朝起きてみれば、ベッドの上にいた記憶まで呼び起こして、カイトは頭を打ち振った。
「ところで…」
勝手にくつろぎながら、しかも勝手にしゃべりだしたソウマは、その時点では真顔だった。
だから、大事な話とやらを切り出すのだと、カイトは思ったのだった。
しかし。
「ところで…式はいつだ?」
眉を上げて、カイトの反応を見る目だ。
顔を顰める。
非常に怪訝な言葉だったからだ。
「式って、何の式だよ…卒業式ならしてねーぞ」
オレぁ、大学中退だ。
うろんな目で睨み下ろしながらも、カイトは向かいのソファにドスンと座った。
ちょうど、2人の間にはテーブルがある。
もてなすものは、何も乗っていなかったけれども。
「おいおい、何をトボケてるんだ…この場合の式は、結婚式に決まっているだろう?」
ソウマは、にこやかな目になった。
あっはっは、照れるな照れるな――そんな顔だ。
ガシャーン!!!!!
カイトの心は、時速200キロでコンクリートの壁に衝突する、車の耐久テストの状態だった。
「誰の結婚式だっつーんだ! このドアホ!」
クソッ。
本当に昔の自分なら、とっくにソウマにソバットをかましている。
成長なのか、はたまたヤキが回ったのか――よく分からないから、心の中で悪態をつく。
ソウマの先に立って、カイトはガンガンと足音も荒く階段を昇って行った。
部屋のドアを開けると、既に暖かい。
帰ってきて、まだ一度も部屋に入っていないのに。
おそらく、ハルコが気を利かせて暖房のタイマーでもセットしていてくれたのだろう。
しかし、こんなに早く帰ってくるということを、やっぱり読まれていたような気がして、さらなる苛立ちのパーセントが上がった。
部屋に入るなり。
何の許可も取らずに、ソウマはソファに近付くと腰かける。
昨夜、自分が寝るために転がっていたところ――しかし、朝起きてみれば、ベッドの上にいた記憶まで呼び起こして、カイトは頭を打ち振った。
「ところで…」
勝手にくつろぎながら、しかも勝手にしゃべりだしたソウマは、その時点では真顔だった。
だから、大事な話とやらを切り出すのだと、カイトは思ったのだった。
しかし。
「ところで…式はいつだ?」
眉を上げて、カイトの反応を見る目だ。
顔を顰める。
非常に怪訝な言葉だったからだ。
「式って、何の式だよ…卒業式ならしてねーぞ」
オレぁ、大学中退だ。
うろんな目で睨み下ろしながらも、カイトは向かいのソファにドスンと座った。
ちょうど、2人の間にはテーブルがある。
もてなすものは、何も乗っていなかったけれども。
「おいおい、何をトボケてるんだ…この場合の式は、結婚式に決まっているだろう?」
ソウマは、にこやかな目になった。
あっはっは、照れるな照れるな――そんな顔だ。
ガシャーン!!!!!
カイトの心は、時速200キロでコンクリートの壁に衝突する、車の耐久テストの状態だった。
「誰の結婚式だっつーんだ! このドアホ!」