冬うらら~猫と起爆スイッチ~
11/29 Mon.-2
●6
ボーゼン。
メイは、ワケが分からないまま、その部屋まで連れて来られた。
ずっと空調をつけっぱなしにしていたのか、ひどく暖かい部屋である。
それだけではなかった。
すごく広い部屋――いや、すごく広い家なのだ、ここは。
タクシーが、郊外の一軒家の門の前で止まった時、正直びっくりした。
いくら郊外とは言え、こんな洋館があることは知らなかったのだ。
カイトと名乗った男が、リモコンみたいなのを操作する度に、門が開いたり玄関までの明かりが灯ったり。
何が何だか分からない彼女には、まるで魔法のように見えた。
彼からの説明は全然なく、とにかく部屋の中まで連れてこられる。
キョロキョロ。
メイは落ちつかずに周囲を見回した。
な、何をされちゃうの?
メイの一番の不安は、そこだった。
たとえ、カイトがお金持ちであっても、何の裏もなく彼女の借金を払うハズがない――そう考えたのである。
当然の思考だった。
大体、まだ借金が本当になくなったという事実を、メイは信じられないでいるのだ。
父親が死んで、遺産の整理をしたら借金だらけで。
ヤクザみたいな人たちが来て、連れていかれたのが、あのボスのところだった。
『大丈夫よ、あんたが借金を返せばいいの』
うちで働きなさい。
そう言われたのが数日前のことだった。
ボーゼン。
メイは、ワケが分からないまま、その部屋まで連れて来られた。
ずっと空調をつけっぱなしにしていたのか、ひどく暖かい部屋である。
それだけではなかった。
すごく広い部屋――いや、すごく広い家なのだ、ここは。
タクシーが、郊外の一軒家の門の前で止まった時、正直びっくりした。
いくら郊外とは言え、こんな洋館があることは知らなかったのだ。
カイトと名乗った男が、リモコンみたいなのを操作する度に、門が開いたり玄関までの明かりが灯ったり。
何が何だか分からない彼女には、まるで魔法のように見えた。
彼からの説明は全然なく、とにかく部屋の中まで連れてこられる。
キョロキョロ。
メイは落ちつかずに周囲を見回した。
な、何をされちゃうの?
メイの一番の不安は、そこだった。
たとえ、カイトがお金持ちであっても、何の裏もなく彼女の借金を払うハズがない――そう考えたのである。
当然の思考だった。
大体、まだ借金が本当になくなったという事実を、メイは信じられないでいるのだ。
父親が死んで、遺産の整理をしたら借金だらけで。
ヤクザみたいな人たちが来て、連れていかれたのが、あのボスのところだった。
『大丈夫よ、あんたが借金を返せばいいの』
うちで働きなさい。
そう言われたのが数日前のことだった。