冬うらら~猫と起爆スイッチ~
●
朝食を食べない理由を、ちゃんと聞いた訳ではない。
時間がない、食欲がない、作れない。
理由はいくつもあるけれども、それのどれに属しているか、今日朝食を作りながら不安に思ったことでもあった。
食欲がない、だったらアウトだ。
でも、「作りましょうか?」と聞いたら、絶対に「すんな!」と言われることは分かっていたから。
だから、黙って作るしかなかったのだ。
おみそ汁…作りたいな。
メイは、調理場に入ってコンソメスープの水面を眺めた。
ハルコの献立は、西洋系の食事がメインだ。
勿論、それも嫌いではないけれども、彼女は毎朝みそ汁を作っていたので、ついついそっちが恋しくなってしまう。
いまだったら、里芋とか…。
ネギもいっぱい入れて。
メイは、八百屋に買い物に行ってる気分になっていた。
しかし、はっと我に返って卵を割りほぐし始める。
いっぱい空気を入れて、ふわふわのオムレツを作るために。
カシャカシャカシャッ。
プラスチックのボウルの中で卵が渦を巻く。
泡立て器がプラスチックを叩いて、メイの好きな歌を歌うのだ。
だから。
誰かが近くに立っているのに、すぐには気づけなかった。
ふっと、気配が首筋を撫でて。
びっくりして、ばっと振り返る。
カイトだ。
来てくれた!
メイは、嬉しさが一瞬に跳ね上がった。
胸が、ジンジンするくらい喜んでいる。
「あ、すぐ持っていきますから、座っててください!」
慌てる指でフライパンに火を入れながら、メイは嬉しさを隠しきれない声で、彼にそう伝えたのだ。うわずる声を抑えきれない。
身体の中に、鉄琴が入っているようだ。
キン、カン、コン、コン。
一足飛びに高い方を叩いていく音に、メイは足が地に着かなくなりそうだった。
朝食を食べない理由を、ちゃんと聞いた訳ではない。
時間がない、食欲がない、作れない。
理由はいくつもあるけれども、それのどれに属しているか、今日朝食を作りながら不安に思ったことでもあった。
食欲がない、だったらアウトだ。
でも、「作りましょうか?」と聞いたら、絶対に「すんな!」と言われることは分かっていたから。
だから、黙って作るしかなかったのだ。
おみそ汁…作りたいな。
メイは、調理場に入ってコンソメスープの水面を眺めた。
ハルコの献立は、西洋系の食事がメインだ。
勿論、それも嫌いではないけれども、彼女は毎朝みそ汁を作っていたので、ついついそっちが恋しくなってしまう。
いまだったら、里芋とか…。
ネギもいっぱい入れて。
メイは、八百屋に買い物に行ってる気分になっていた。
しかし、はっと我に返って卵を割りほぐし始める。
いっぱい空気を入れて、ふわふわのオムレツを作るために。
カシャカシャカシャッ。
プラスチックのボウルの中で卵が渦を巻く。
泡立て器がプラスチックを叩いて、メイの好きな歌を歌うのだ。
だから。
誰かが近くに立っているのに、すぐには気づけなかった。
ふっと、気配が首筋を撫でて。
びっくりして、ばっと振り返る。
カイトだ。
来てくれた!
メイは、嬉しさが一瞬に跳ね上がった。
胸が、ジンジンするくらい喜んでいる。
「あ、すぐ持っていきますから、座っててください!」
慌てる指でフライパンに火を入れながら、メイは嬉しさを隠しきれない声で、彼にそう伝えたのだ。うわずる声を抑えきれない。
身体の中に、鉄琴が入っているようだ。
キン、カン、コン、コン。
一足飛びに高い方を叩いていく音に、メイは足が地に着かなくなりそうだった。