冬うらら~猫と起爆スイッチ~

 ガタン。

 乱暴な動きで、椅子に腰かけた音がする。

 メイは、少しずつ動きを取り戻した。
 まだ完全に自分のものには戻ってきていなかったけれども。

 オムレツを見る。

 別に問題はなかったような気がした。

 調理場の壁の端にかけてある鏡を、首を伸ばして覗く。

 顔の方にも、別に問題はないようだ。

 やっぱり、お節介だったかな。

 喜ばしい雰囲気でないことは分かった。

 それに、ちょっと落ち込みかけるけれども、いまカイトが席についた事実を思い出して立ち直った。

 彼は、席に着いたのだ。

 ということは、朝食を食べるつもりなのである。

 メイは、そのお皿を急いで席まで届けることに決めた。

 早くしないと、時間に彼を連れて行かれてしまう。


 仏頂面のままのカイトの目の前に、太陽を一つ配達した。
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