冬うらら~猫と起爆スイッチ~
△
ノックをする。
返事はなかった。
しかし、中で音はしているし、彼のノックで一瞬その音が全て中断されたのだ。
間違いなく、人がいる証明である。
シュウは、ドアを開けた。
「おはようございます」
いることを予測しながら、ドアを開けたのだ。
案の定、カイトの茶髪が見える。
食卓についていて、朝食中という風景だった。
イレギュラー・カウンターが上がる。
彼は、こんなに朝早くから朝食を食べないのだ。
その時間を費やすよりも、出社ギリギリまで寝ていた方がマシ、というタイプだった。
開発室などで、栄養補助食品や、どこから買ってきたともしれない怪しげな何かを食べていることはあったが。
おまけに、今日もワイシャツ姿である。
また、カウンターを1アップさせる。
あんなに背広嫌いで有名な男が、連続でこの騒ぎだ。
一体、何があったというのか。
一度だって気まぐれで済ませられない事実だというのに、こうも続いては完全にどこか故障しているとしか思えなかった。
「あ、おはようございます…すぐ支度しますね!」
しかし、カイトと会話を交わすより先に、イレギュラーの元が席を立ち上がった。
調理場の方に向かおうとしている。
ソウマが言うには――彼女が、カイトの片思いの相手らしい。
片思い。
好ましく思っている感情を、特定の相手に一方的に向けること。
シュウの記憶の辞書では、そういう言葉で表現してある。
この場合、カイトは彼女のことを好ましく思っているが、相手には伝わっていないということだ。
彼は、欲しいものは絶対に手に入れる男である。
これまでカイトの人生を見てきたシュウが、知っている数少ないことだ。
ノックをする。
返事はなかった。
しかし、中で音はしているし、彼のノックで一瞬その音が全て中断されたのだ。
間違いなく、人がいる証明である。
シュウは、ドアを開けた。
「おはようございます」
いることを予測しながら、ドアを開けたのだ。
案の定、カイトの茶髪が見える。
食卓についていて、朝食中という風景だった。
イレギュラー・カウンターが上がる。
彼は、こんなに朝早くから朝食を食べないのだ。
その時間を費やすよりも、出社ギリギリまで寝ていた方がマシ、というタイプだった。
開発室などで、栄養補助食品や、どこから買ってきたともしれない怪しげな何かを食べていることはあったが。
おまけに、今日もワイシャツ姿である。
また、カウンターを1アップさせる。
あんなに背広嫌いで有名な男が、連続でこの騒ぎだ。
一体、何があったというのか。
一度だって気まぐれで済ませられない事実だというのに、こうも続いては完全にどこか故障しているとしか思えなかった。
「あ、おはようございます…すぐ支度しますね!」
しかし、カイトと会話を交わすより先に、イレギュラーの元が席を立ち上がった。
調理場の方に向かおうとしている。
ソウマが言うには――彼女が、カイトの片思いの相手らしい。
片思い。
好ましく思っている感情を、特定の相手に一方的に向けること。
シュウの記憶の辞書では、そういう言葉で表現してある。
この場合、カイトは彼女のことを好ましく思っているが、相手には伝わっていないということだ。
彼は、欲しいものは絶対に手に入れる男である。
これまでカイトの人生を見てきたシュウが、知っている数少ないことだ。