冬うらら~猫と起爆スイッチ~
●
しかし、出てきたものは、どこにでも転がっている石ころ。
「あ…あの…気をつけて」
メイは、自分の声がバイクのエンジン音に、かき消されてしまったのではないかと思って心配になった。
こわごわ彼の反応を見つめた。
目元が、くっと細められて。
怒っているのか、イラついているのか、よく分からない表情だ。
全体が見えず、目の部分だけしか情報がないというのは、こんなに印象を変えるものなのか。
その顔が、メットごと彼女からそらされた。
「入ってろ…!」
こもった声で彼が怒鳴る。
いつもの怒鳴りのように、鼓膜に突っ込んでくるものではなく、いくつもカバーをかけた音。
いい終えるや、バイクは90度向きを変えた。
ジャッとタイヤの角度で、地面が抉られる。
背広の裾が、風で跳ねがる残像。
開いたままの門の向こうに、あっという間に消えていく。
行ってしまったのだ。
しかし、出てきたものは、どこにでも転がっている石ころ。
「あ…あの…気をつけて」
メイは、自分の声がバイクのエンジン音に、かき消されてしまったのではないかと思って心配になった。
こわごわ彼の反応を見つめた。
目元が、くっと細められて。
怒っているのか、イラついているのか、よく分からない表情だ。
全体が見えず、目の部分だけしか情報がないというのは、こんなに印象を変えるものなのか。
その顔が、メットごと彼女からそらされた。
「入ってろ…!」
こもった声で彼が怒鳴る。
いつもの怒鳴りのように、鼓膜に突っ込んでくるものではなく、いくつもカバーをかけた音。
いい終えるや、バイクは90度向きを変えた。
ジャッとタイヤの角度で、地面が抉られる。
背広の裾が、風で跳ねがる残像。
開いたままの門の向こうに、あっという間に消えていく。
行ってしまったのだ。