冬うらら~猫と起爆スイッチ~
□
ガレージにバイクを突っ込む。
見れば、ハルコの車がある。
まだいやがるのだ。
カイトは、忌々しさに顔を思い切り歪めた。
気をつけなければ、すぐにツマミにされかねない。
大体、何でこんな時間までいやがんだ!
ハルコが、仕事終わりを待っている必要はない。
とっとと帰って、あのとぼけコンサルタントの世話でもしていればいいのだ。
そのまま家の方に戻りかけて――しかし、またカイトはガレージに戻った。
仏頂面のままで。
ヘルメットを外していないことに気づいたのだ。
朝並みに、指がうまく動かない。
その上、朝とは明るさが全然違うのだ。
首の下での出来事ではあるが、視界が暗いと余計にうまくいかないような気がした。
ようやく外して、ハンドルにひっかける。
家に向かいかけ。
やっぱり、戻った。
舌打ちひとつ。
カイトは、ジャンパーを脱ぎ捨てると、そこらに叩きつけたのだった。
「あっ!」
玄関を開けるなり、メイが振り返った。
驚いた声とともに。
いきなりの妙な角度に、カイトは面食らった。
いろいろ頭の中にあったことが、一瞬にして吹っ飛んでゼロになる。
「何…してやがる?」
彼は、眉を顰める。
どうにも、不自然な体勢だったのだ。
いや、玄関に背中を向けているなんて状態は、玄関から入ってきた時くらいだ。
しかし、玄関から入ったのはカイトであって、彼女ではない。
こんなに間近で背中を向けているのは、どういう経緯があったのか。
メイは、慌てて彼の方を向き直るとうつむいて。
「あ…いえ、別に…車の音みたいなのがしたんで、帰って来られたのかと…でも、全然ドアが開かないので…その…気のせいかと…」
言いにくそうに、つっかえつっかえ。
しかし、カイトには分かった。
ガレージにバイクを突っ込む。
見れば、ハルコの車がある。
まだいやがるのだ。
カイトは、忌々しさに顔を思い切り歪めた。
気をつけなければ、すぐにツマミにされかねない。
大体、何でこんな時間までいやがんだ!
ハルコが、仕事終わりを待っている必要はない。
とっとと帰って、あのとぼけコンサルタントの世話でもしていればいいのだ。
そのまま家の方に戻りかけて――しかし、またカイトはガレージに戻った。
仏頂面のままで。
ヘルメットを外していないことに気づいたのだ。
朝並みに、指がうまく動かない。
その上、朝とは明るさが全然違うのだ。
首の下での出来事ではあるが、視界が暗いと余計にうまくいかないような気がした。
ようやく外して、ハンドルにひっかける。
家に向かいかけ。
やっぱり、戻った。
舌打ちひとつ。
カイトは、ジャンパーを脱ぎ捨てると、そこらに叩きつけたのだった。
「あっ!」
玄関を開けるなり、メイが振り返った。
驚いた声とともに。
いきなりの妙な角度に、カイトは面食らった。
いろいろ頭の中にあったことが、一瞬にして吹っ飛んでゼロになる。
「何…してやがる?」
彼は、眉を顰める。
どうにも、不自然な体勢だったのだ。
いや、玄関に背中を向けているなんて状態は、玄関から入ってきた時くらいだ。
しかし、玄関から入ったのはカイトであって、彼女ではない。
こんなに間近で背中を向けているのは、どういう経緯があったのか。
メイは、慌てて彼の方を向き直るとうつむいて。
「あ…いえ、別に…車の音みたいなのがしたんで、帰って来られたのかと…でも、全然ドアが開かないので…その…気のせいかと…」
言いにくそうに、つっかえつっかえ。
しかし、カイトには分かった。