冬うらら~猫と起爆スイッチ~
□
「あの…ホントに?」
まだ心配そうな声。
「るせぇ! 寒くねぇっつってっだろ! くだんねーこと言うな!」
そして。
また、怒鳴ってしまった。
「そんなに、怒鳴るものじゃないでしょう?」
ダイニングの方から、いきなり声が出てきて、カイトは肝をつぶしそうになった。
クソッ…忘れてたぜ。
ドアを開けるなり、いきなりメイと会ったせいで、いろんな注意も全部一緒に吹っ飛んでしまったのだ。
それに腹を立てた意味も込めて、思い切り睨みつけた。
ハルコだ。
この夫婦ときたら、入れ替わり立ち替わり、いつまでカイトを脅かせば気が済むのか。
「あら、そんなに睨まないで…お話ししたいことがあるから待っていたんですよ」
食えない笑顔に、しかしカイトは騙されたりはしなかった。
「オレの方はねぇ!」
とっとと帰れ。
これ以上好奇の目にさらされるのに耐えられず、足早に歩き出した。
「あら…あらあら」
ハルコの声がどんどん遠くなる。
彼女のようなタイプは、隠し球を持っている。
不意打ちがうまく、カイトの足を止めさせるような言葉を吐くのだ。
そんなものに引っかかるワケにもいかなかった。
カイトは物凄い速さで玄関を行き過ぎると、階段を駆け上がり。
バターン!!!
拒絶の意味で、部屋のドアを思い切り叩き閉めたのだった。
チクショウ!
どうして、この家には出入りする人間が多いのか。
今更なことを憎みながら、上着を脱ぎ捨てる。
こんな早い時間に帰ってきたのを――また、ハルコに見られてしまった。
その事実だけでも、カイトには死ぬほど耐えられなかったのだ。
「あの…ホントに?」
まだ心配そうな声。
「るせぇ! 寒くねぇっつってっだろ! くだんねーこと言うな!」
そして。
また、怒鳴ってしまった。
「そんなに、怒鳴るものじゃないでしょう?」
ダイニングの方から、いきなり声が出てきて、カイトは肝をつぶしそうになった。
クソッ…忘れてたぜ。
ドアを開けるなり、いきなりメイと会ったせいで、いろんな注意も全部一緒に吹っ飛んでしまったのだ。
それに腹を立てた意味も込めて、思い切り睨みつけた。
ハルコだ。
この夫婦ときたら、入れ替わり立ち替わり、いつまでカイトを脅かせば気が済むのか。
「あら、そんなに睨まないで…お話ししたいことがあるから待っていたんですよ」
食えない笑顔に、しかしカイトは騙されたりはしなかった。
「オレの方はねぇ!」
とっとと帰れ。
これ以上好奇の目にさらされるのに耐えられず、足早に歩き出した。
「あら…あらあら」
ハルコの声がどんどん遠くなる。
彼女のようなタイプは、隠し球を持っている。
不意打ちがうまく、カイトの足を止めさせるような言葉を吐くのだ。
そんなものに引っかかるワケにもいかなかった。
カイトは物凄い速さで玄関を行き過ぎると、階段を駆け上がり。
バターン!!!
拒絶の意味で、部屋のドアを思い切り叩き閉めたのだった。
チクショウ!
どうして、この家には出入りする人間が多いのか。
今更なことを憎みながら、上着を脱ぎ捨てる。
こんな早い時間に帰ってきたのを――また、ハルコに見られてしまった。
その事実だけでも、カイトには死ぬほど耐えられなかったのだ。