冬うらら~猫と起爆スイッチ~
●
コンコン。
ノックは、少しおそるおそる。
ハルコにああは言ったものの、少しまだ怖い。
カイトはさっきまで、火がついたように怒っていたのだから。
まだ怒ってるんじゃないかと、それを心配しているのだ。
機嫌の悪い時にお願いなんか出来るハズもない。
様子を見て、切り出すかどうか決めようと思った。
中からは返事はない。
お風呂?
そう思いはしたが、一応ドアに向かって、「メイです」と、名乗った。
すると。
ドスドスと、恐竜のような足音が聞こえる。
それが凄い勢いでドアに向かって近づいてくるのだ。
まだ怒ってる!
メイは、タイミングの悪い自分に気づいて、反射的に身を固くした。
もう少し後で、食事に呼びにくればよかった、と。
バタン!
目の前で、ドアが勢いよく開く。
ビクッと、彼女は身体を震わせた。
あ。
しかし、目は閉じなかった。
はっきりと前を向けていた目に、いきなりカイトの顔が飛び込んでくる。
慌てて飛び出してきたという顔。その目の中には、ちゃんと自分が映っていた。
怒った顔――じゃなかった。
よかった。
メイは、それにホッとした。
けれども、彼女が何かを言い出すより先に、カイトはハッと我に返ったように、首だけ突きだして左右を見る。
「あ、ハルコさんは帰られました」
それを言うと、彼は別にそういうんじゃない、と言う風な顔で、突然周囲を伺う動きをやめた。
不機嫌顔のまま、横にそらして止める。
まだワイシャツ姿だ。
朝のように、前ボタンをいくつか外したまま。ネクタイや上着はない。
彼は部屋に戻ってから、自分の身の回りのことを何もしていないようだ。
コンコン。
ノックは、少しおそるおそる。
ハルコにああは言ったものの、少しまだ怖い。
カイトはさっきまで、火がついたように怒っていたのだから。
まだ怒ってるんじゃないかと、それを心配しているのだ。
機嫌の悪い時にお願いなんか出来るハズもない。
様子を見て、切り出すかどうか決めようと思った。
中からは返事はない。
お風呂?
そう思いはしたが、一応ドアに向かって、「メイです」と、名乗った。
すると。
ドスドスと、恐竜のような足音が聞こえる。
それが凄い勢いでドアに向かって近づいてくるのだ。
まだ怒ってる!
メイは、タイミングの悪い自分に気づいて、反射的に身を固くした。
もう少し後で、食事に呼びにくればよかった、と。
バタン!
目の前で、ドアが勢いよく開く。
ビクッと、彼女は身体を震わせた。
あ。
しかし、目は閉じなかった。
はっきりと前を向けていた目に、いきなりカイトの顔が飛び込んでくる。
慌てて飛び出してきたという顔。その目の中には、ちゃんと自分が映っていた。
怒った顔――じゃなかった。
よかった。
メイは、それにホッとした。
けれども、彼女が何かを言い出すより先に、カイトはハッと我に返ったように、首だけ突きだして左右を見る。
「あ、ハルコさんは帰られました」
それを言うと、彼は別にそういうんじゃない、と言う風な顔で、突然周囲を伺う動きをやめた。
不機嫌顔のまま、横にそらして止める。
まだワイシャツ姿だ。
朝のように、前ボタンをいくつか外したまま。ネクタイや上着はない。
彼は部屋に戻ってから、自分の身の回りのことを何もしていないようだ。