冬うらら~猫と起爆スイッチ~
●
しかし―― カイトは、ジャガイモを口に入れるやいなや、すごい顰めっ面になった。
驚きというか、どちらかというと耐えられない驚きという顔。
目を白黒させている。
慌ててコップの水を口の中に流し込んだ。
そのすごい勢い。
ウ…ソ。
とてもじゃないけれども、おいしい料理に対する態度じゃなかった。
目の前が真っ暗になる。
そんなにとんでもない味付けなのかと、胸が冷たくなった。
ウソ、ウソ。
メイは慌てた箸の動きで、肉じゃがに手をつけた。
塩と砂糖を間違えてはいないハズだ。
ちゃんと味見もしたのである。
保温中に何かあったのかと、メイは肉の破片を口の中に入れた。
「……」
絶句した。
まばたきをする。
何故なら、肉じゃがは―― 味見した通りの味だったのだ。
本当に普通の肉じゃがの味がしたのである。
普通の人が、過剰反応するようなものじゃなく、それはハルコにも確認してもらった。
なのに、カイトの口には合わなかったのだ。
ウソ…。
彼の味の好みは知らない。
けれども、嫌いなものと好きなものは、軽くハルコが教えてくれた。
嫌いなものは、何も入れていないハズである。
メイは、どん底に沈んだ。
カイトのためにと思っているのに、全然そうならないのである。
箸を置いた。
「す、すみません…」
声が沈む。顔もうつむいてしまう。
自分が唯一出来ることと思っていたことが、足元からひっくり返されてしまったのだ。
つらくてたまらなくなった。
しかし。
うつむいたメイの向かいで、箸と陶器の乱暴にぶつかる音が始まった。
それは、途切れる様子はない。
しかし―― カイトは、ジャガイモを口に入れるやいなや、すごい顰めっ面になった。
驚きというか、どちらかというと耐えられない驚きという顔。
目を白黒させている。
慌ててコップの水を口の中に流し込んだ。
そのすごい勢い。
ウ…ソ。
とてもじゃないけれども、おいしい料理に対する態度じゃなかった。
目の前が真っ暗になる。
そんなにとんでもない味付けなのかと、胸が冷たくなった。
ウソ、ウソ。
メイは慌てた箸の動きで、肉じゃがに手をつけた。
塩と砂糖を間違えてはいないハズだ。
ちゃんと味見もしたのである。
保温中に何かあったのかと、メイは肉の破片を口の中に入れた。
「……」
絶句した。
まばたきをする。
何故なら、肉じゃがは―― 味見した通りの味だったのだ。
本当に普通の肉じゃがの味がしたのである。
普通の人が、過剰反応するようなものじゃなく、それはハルコにも確認してもらった。
なのに、カイトの口には合わなかったのだ。
ウソ…。
彼の味の好みは知らない。
けれども、嫌いなものと好きなものは、軽くハルコが教えてくれた。
嫌いなものは、何も入れていないハズである。
メイは、どん底に沈んだ。
カイトのためにと思っているのに、全然そうならないのである。
箸を置いた。
「す、すみません…」
声が沈む。顔もうつむいてしまう。
自分が唯一出来ることと思っていたことが、足元からひっくり返されてしまったのだ。
つらくてたまらなくなった。
しかし。
うつむいたメイの向かいで、箸と陶器の乱暴にぶつかる音が始まった。
それは、途切れる様子はない。