冬うらら~猫と起爆スイッチ~

「最初に食べた時…いえ、やっぱり作り直します!」

 ばっと立ち上がって、彼からオタマを奪おうとしたが、奪い返すことは出来なかった。

 それどころか返り討ちだ

 手を伸ばそうとしたところを、思い切り怒鳴られたのである。

「オレは食いたいもんしか食わねぇ。マズイなら、おかわりなんかするか!」

 そのソニックに、彼女はビクッと目を閉じた。

「でも…」

 怒鳴られた後、ようやく目を開けると、カイトは短気な動きで肉じゃがをよそっている。

 これ以上、口出しするなと彼の手が拒否しているが、メイは我慢出来なかった。

「でも、最初に…」

 あんなにおいしくなさそうに。

 無理して。

 おかわりまでして。

「あれは!」

 カイトは、よそい終わった器をテーブルに置くと、ガンと背もたれにぶつかるような強い勢いで椅子に戻った。

 そらされた視線と一緒に、また怒鳴るような声が出る。

「あれは! あれは……熱かっただけだ」

 クソッ。

 汚い言葉が追加される。

 何でオレがこんなことまで言わなきゃなんねーんだ――そらされたカイトの横顔が、そう怒っていた。
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