冬うらら~猫と起爆スイッチ~
●70
あ、やっぱり…。
メイは、身が縮む思いだった。
カイトが、ひどく驚いた顔をして彼女を見ていたからである。
見事に動きまで固まっているのが分かった。
やっぱり、呆れるような申し出だったのだ。
それもそうだろう。
最初にあれだけの借金を返済してもらった相手に、しかも、家にまで置いてもらってる相手に、更に金を貸せと言っているのだ。
普通なら、呆れて当然である。
ああ、でも違うの!
メイは弁解しようとした。
くだらないことのために使うワケではないのだ。
それは確かに、汚れてもいい洋服というのは、余り大きな声では言えないかもしれないけれど、あとはおみそ汁の具であるとか、そういうもののために使える金額があれば。
頭では分かっているものの、いざそれを言葉として出そうとするとうまくいかなくて、いたずらに口を開けたり閉じたりするので精一杯だった。
うまくしゃべらないと、またカイトに怒鳴られてしまいそうな気がしたのだ。
沈黙は長くはなかったけれども、この空気を平気な顔で味わえるほど短くもなかった。
ついに、もう何でもいいからしゃべろうと決意して口を開けた時。
カイトは、いきなり彼女に背中を向けた。
ドスドスと大股でダイニングを出ていくではないか。
あっ!
メイは、不安のどん底にたたき落とされた。
その背中があっという間にドアを開けて、その向こうに消えた時―― ヘナヘナと床に座り込んでしまう。
勇気を振り絞ったのだ。
何度も、言おうかやめようか考えて考えて、迷って、でもようやく口にしたのである。
なのにカイトは行ってしまった。
無言で。
ああ、どうしよう。
きっと呆れられてしまったんだと思ったら、目の前が真っ暗になる。
せっかく、いままで何となく良い方向に流れてきていると感じていたのに、それがいきなりリセットされて、「はい、ふりだしから」とスタートに戻されてしまった気分だった。
あ、やっぱり…。
メイは、身が縮む思いだった。
カイトが、ひどく驚いた顔をして彼女を見ていたからである。
見事に動きまで固まっているのが分かった。
やっぱり、呆れるような申し出だったのだ。
それもそうだろう。
最初にあれだけの借金を返済してもらった相手に、しかも、家にまで置いてもらってる相手に、更に金を貸せと言っているのだ。
普通なら、呆れて当然である。
ああ、でも違うの!
メイは弁解しようとした。
くだらないことのために使うワケではないのだ。
それは確かに、汚れてもいい洋服というのは、余り大きな声では言えないかもしれないけれど、あとはおみそ汁の具であるとか、そういうもののために使える金額があれば。
頭では分かっているものの、いざそれを言葉として出そうとするとうまくいかなくて、いたずらに口を開けたり閉じたりするので精一杯だった。
うまくしゃべらないと、またカイトに怒鳴られてしまいそうな気がしたのだ。
沈黙は長くはなかったけれども、この空気を平気な顔で味わえるほど短くもなかった。
ついに、もう何でもいいからしゃべろうと決意して口を開けた時。
カイトは、いきなり彼女に背中を向けた。
ドスドスと大股でダイニングを出ていくではないか。
あっ!
メイは、不安のどん底にたたき落とされた。
その背中があっという間にドアを開けて、その向こうに消えた時―― ヘナヘナと床に座り込んでしまう。
勇気を振り絞ったのだ。
何度も、言おうかやめようか考えて考えて、迷って、でもようやく口にしたのである。
なのにカイトは行ってしまった。
無言で。
ああ、どうしよう。
きっと呆れられてしまったんだと思ったら、目の前が真っ暗になる。
せっかく、いままで何となく良い方向に流れてきていると感じていたのに、それがいきなりリセットされて、「はい、ふりだしから」とスタートに戻されてしまった気分だった。