冬うらら~猫と起爆スイッチ~
□
メイにではない。
自分に、だ。
彼女がお金が必要になってお願いするまで、微塵もそのことに気づかなかったのである。
メイは、女なのだ。
その存在については扱いが苦手で、これまでよく知ろうとしなかった。
そんな怠慢のせいで、女にとっては何が日常必要なのか―― 想像もつかないのだ。
カイトに言えないような必需品だってあるはずで。
人は生きている限りお金が必要である。
それは、何よりもカイトが知っていることだ。
生きる手段としてや、欲しい物を手に入れる時に最大限に使っている。
どちらかというと、必需品からほど遠いものばかり手に入れているのが、彼の特徴ではあるが。
もとい。
自由になるお金が必要であることは、考えれば分かることだ。
いままで彼女はずっと考えていて、そして、ようやく今日言い出したような気がした。
頭を下げて。
ムカッッ。
お金を掴んで部屋を出る。
自分のバカさ加減にどんどんハラが立っていくのだ。
我知らず、足取りが叩きつけるようなものになった。
階段を降りて廊下に出る。
ダイニングまで、その勢いと強さのまま歩いたのだった。
バターンとドアを開けると、メイが驚きと戸惑いの目で自分を見ていた。
きっと、足音のせいだろう。
何故か床に座り込んでいて、慌てたように立ち上がる。
カイトは、まだ勢いを持続したまま部屋の中に踏み込むと。
ダンッッと、札束を机に置いた。
分かっていたのは。
メイが、この額を遠慮するだろうということだ。
そんなのは、引き出しから掴んだ時から予測がついていた
だから、このまま置き逃げすることに決めたのである。
彼女に懇願されたら、きっとカイトは拒めずに、かなりの残額を持ち帰らされてしまうだろうから。
渡して去れば、メイは預からざるを得ないだろう。
そして、きっと必要になったら使うはずだ――そうシミュレーションした。
メイにではない。
自分に、だ。
彼女がお金が必要になってお願いするまで、微塵もそのことに気づかなかったのである。
メイは、女なのだ。
その存在については扱いが苦手で、これまでよく知ろうとしなかった。
そんな怠慢のせいで、女にとっては何が日常必要なのか―― 想像もつかないのだ。
カイトに言えないような必需品だってあるはずで。
人は生きている限りお金が必要である。
それは、何よりもカイトが知っていることだ。
生きる手段としてや、欲しい物を手に入れる時に最大限に使っている。
どちらかというと、必需品からほど遠いものばかり手に入れているのが、彼の特徴ではあるが。
もとい。
自由になるお金が必要であることは、考えれば分かることだ。
いままで彼女はずっと考えていて、そして、ようやく今日言い出したような気がした。
頭を下げて。
ムカッッ。
お金を掴んで部屋を出る。
自分のバカさ加減にどんどんハラが立っていくのだ。
我知らず、足取りが叩きつけるようなものになった。
階段を降りて廊下に出る。
ダイニングまで、その勢いと強さのまま歩いたのだった。
バターンとドアを開けると、メイが驚きと戸惑いの目で自分を見ていた。
きっと、足音のせいだろう。
何故か床に座り込んでいて、慌てたように立ち上がる。
カイトは、まだ勢いを持続したまま部屋の中に踏み込むと。
ダンッッと、札束を机に置いた。
分かっていたのは。
メイが、この額を遠慮するだろうということだ。
そんなのは、引き出しから掴んだ時から予測がついていた
だから、このまま置き逃げすることに決めたのである。
彼女に懇願されたら、きっとカイトは拒めずに、かなりの残額を持ち帰らされてしまうだろうから。
渡して去れば、メイは預からざるを得ないだろう。
そして、きっと必要になったら使うはずだ――そうシミュレーションした。