冬うらら~猫と起爆スイッチ~
□
昨日までとどう違うとか、こうおいしかったとか、頭の中にいろんな情報は渦巻いているのに、どれもこれも世辞くさく、一山いくらみたいに安っぽく、とてもカイトは口に出来なかった。
そこらにいる、ナンパ野郎のようにはなれないのだ。
なりたくない、というプライドのせいで、余計に口にロックがかかる。
メイに表すことが出来るのは、このカレーを食べることだけ。
マズかったら食わねぇ。
嫌いだったら、絶対に同じ空間なんか共有しない。
両方ともクリアしているからこそ、いまカイトは、ここで彼女と夕食を取っているのだ。
けれども、きっとどう思っていようが、メイには分からないのである。
また、分かられてはいけないことだった。
ガタン。
カイトは席を立った。
メイが視界に入る。いきなり立ち上がった彼を、驚きの目で見ている。
彼は、無言でジャーを開けようとした。
皿の上は、もう空っぽなのだ。
「あっ! 私が!」
慌てて立ち上がろうとする彼女を、ギロッと睨む。
ビクッと動きを止めたのをいいことに、カイトはどんどんご飯をよそった。
次はカレー鍋だ。
黙々とカイトはカレーを食べ――もう一度、勝手におかわりをした。
昨日までとどう違うとか、こうおいしかったとか、頭の中にいろんな情報は渦巻いているのに、どれもこれも世辞くさく、一山いくらみたいに安っぽく、とてもカイトは口に出来なかった。
そこらにいる、ナンパ野郎のようにはなれないのだ。
なりたくない、というプライドのせいで、余計に口にロックがかかる。
メイに表すことが出来るのは、このカレーを食べることだけ。
マズかったら食わねぇ。
嫌いだったら、絶対に同じ空間なんか共有しない。
両方ともクリアしているからこそ、いまカイトは、ここで彼女と夕食を取っているのだ。
けれども、きっとどう思っていようが、メイには分からないのである。
また、分かられてはいけないことだった。
ガタン。
カイトは席を立った。
メイが視界に入る。いきなり立ち上がった彼を、驚きの目で見ている。
彼は、無言でジャーを開けようとした。
皿の上は、もう空っぽなのだ。
「あっ! 私が!」
慌てて立ち上がろうとする彼女を、ギロッと睨む。
ビクッと動きを止めたのをいいことに、カイトはどんどんご飯をよそった。
次はカレー鍋だ。
黙々とカイトはカレーを食べ――もう一度、勝手におかわりをした。