冬うらら~猫と起爆スイッチ~
□
湯も出ねーのかよ。
道理で。
カイトは思い出した。
最初、メイがシャツのシミヌキをして戻って来た時―― 指が、物凄く冷たかった。
ハラが立つ温度だ。
こんなに冷たい水を扱えば、あんな冷たさになるのも当たり前である。
洗い終わって、そこらに皿を置いた時にはもう、カイトの指はジンジンしていた。
いつも、こんな冷たい思いをしていたのだ。
すんな!
また、その言葉が胸をよぎる。
んなことすんな!
けれどもそれを言うと、とても困った顔をするのは、最初から分かっていた。
簡単にその顔を、右脳に再現出来るのだ。
きっと隠れてでも洗うに決まっているである。
メイは、ちっともカイトの言うことなど聞かないのだ。
はがゆい。
まさしく、その言葉が胸を逆巻いてしまう。
クソッ。
冷たい手を持ったまま、カイトはもう一回そう唸った。
キーボードを円滑に入力できるようになるまで、少し時間が必要だった。
それで、ついでにバイク通勤の初日を思い出してしまって、またムカつく。
あの時も、指がしばらく言うことを聞かなかった。
指も記憶も、メイも。
何も思い通りにできない自分のはがゆさに、カイトはその鬱憤をパソコンにぶつけたのだった。
いま見てみれば―― ところどころ、意味不明の命令を入力しているのが分かる。
ムスッとしたまま、パソコンの画面を眺めた。
これでは、絶対にコンパイルした時にエラー続出だろう。
昨夜、自分の頭がかなりおかしかったことの証拠を見せられた気分で、カイトはそのファイルを閉じた。
保存もせずに。
おかげで、改造は全てパアだ。
また一からやり直しである。
クソッ。
口の中のカレー味を感じる度に、またカイトの中でイライラのゲージが上がっていくのだ。
かなりよろしくない心理状態だった。
湯も出ねーのかよ。
道理で。
カイトは思い出した。
最初、メイがシャツのシミヌキをして戻って来た時―― 指が、物凄く冷たかった。
ハラが立つ温度だ。
こんなに冷たい水を扱えば、あんな冷たさになるのも当たり前である。
洗い終わって、そこらに皿を置いた時にはもう、カイトの指はジンジンしていた。
いつも、こんな冷たい思いをしていたのだ。
すんな!
また、その言葉が胸をよぎる。
んなことすんな!
けれどもそれを言うと、とても困った顔をするのは、最初から分かっていた。
簡単にその顔を、右脳に再現出来るのだ。
きっと隠れてでも洗うに決まっているである。
メイは、ちっともカイトの言うことなど聞かないのだ。
はがゆい。
まさしく、その言葉が胸を逆巻いてしまう。
クソッ。
冷たい手を持ったまま、カイトはもう一回そう唸った。
キーボードを円滑に入力できるようになるまで、少し時間が必要だった。
それで、ついでにバイク通勤の初日を思い出してしまって、またムカつく。
あの時も、指がしばらく言うことを聞かなかった。
指も記憶も、メイも。
何も思い通りにできない自分のはがゆさに、カイトはその鬱憤をパソコンにぶつけたのだった。
いま見てみれば―― ところどころ、意味不明の命令を入力しているのが分かる。
ムスッとしたまま、パソコンの画面を眺めた。
これでは、絶対にコンパイルした時にエラー続出だろう。
昨夜、自分の頭がかなりおかしかったことの証拠を見せられた気分で、カイトはそのファイルを閉じた。
保存もせずに。
おかげで、改造は全てパアだ。
また一からやり直しである。
クソッ。
口の中のカレー味を感じる度に、またカイトの中でイライラのゲージが上がっていくのだ。
かなりよろしくない心理状態だった。