冬うらら~猫と起爆スイッチ~
12/04 Sat.-2
□86
ドアの外で気配がした。
身体が、反射的にビクッと震える。
ノックだ。
メイが―― その名前を思うだけで、カイトはキーボードを叩いていた指をピタリと止め、背中の方へ全ての意識を向けた。
太陽は、夕日と呼んだ方がよくなってきてはいるが、昼間の事件を過去のものにしてしまうほどの時間は経過していなかった。
彼女の部屋であんな騒ぎをしてしまって、実はかなり仕事が手についていなかった。何をしても、記憶がリプレイしてしまうのである。
下着姿の背中が、溶岩のように押し寄せてきた。
コマ送りや、スローモーションまでやってくれたりするから、記憶というのはかなりの高機能である。
メイは、何を考えたのか。
カイトの言った、『脱げ』に。
ひやっと背中が冷たくなる。
クソッ。
彼女のせいで、一日何度呟かされているだろう。
その言葉をまた唇の中でもがかせながら、うめくように言った。
「いるぜ」と。
朝ではないのだ。そう言わないと、メイが遠慮してドアを開けないような気がした。
胸が高鳴る。
どうやって彼女を見て、何をしゃべればいいのか。
一体、何の用が。
カイトは椅子を回してドアの方を向いた。
ゴクリと唾を飲んだ。
ドアが開く。
すっと、予備動作もなく。
それに違和感を覚えるまでもなく登場したのは―― シュウだった。
どんがらがっしゃーん!
心の中で、カイトは椅子から転がり落ちていた。
ドアの外で気配がした。
身体が、反射的にビクッと震える。
ノックだ。
メイが―― その名前を思うだけで、カイトはキーボードを叩いていた指をピタリと止め、背中の方へ全ての意識を向けた。
太陽は、夕日と呼んだ方がよくなってきてはいるが、昼間の事件を過去のものにしてしまうほどの時間は経過していなかった。
彼女の部屋であんな騒ぎをしてしまって、実はかなり仕事が手についていなかった。何をしても、記憶がリプレイしてしまうのである。
下着姿の背中が、溶岩のように押し寄せてきた。
コマ送りや、スローモーションまでやってくれたりするから、記憶というのはかなりの高機能である。
メイは、何を考えたのか。
カイトの言った、『脱げ』に。
ひやっと背中が冷たくなる。
クソッ。
彼女のせいで、一日何度呟かされているだろう。
その言葉をまた唇の中でもがかせながら、うめくように言った。
「いるぜ」と。
朝ではないのだ。そう言わないと、メイが遠慮してドアを開けないような気がした。
胸が高鳴る。
どうやって彼女を見て、何をしゃべればいいのか。
一体、何の用が。
カイトは椅子を回してドアの方を向いた。
ゴクリと唾を飲んだ。
ドアが開く。
すっと、予備動作もなく。
それに違和感を覚えるまでもなく登場したのは―― シュウだった。
どんがらがっしゃーん!
心の中で、カイトは椅子から転がり落ちていた。