冬うらら~猫と起爆スイッチ~
□
どれだけ緊張して、そこにメイが現れるのを待っていたか、この唐変木には一生伝わらないだろう。
思い切り、彼は読みを外してしまったのだ。
まさか、もう帰って来ているとは。
車の音に意識を向けていなかったのが、カイトの敗因である。
「どうかしましたか?」
実際、椅子から転げ落ちはしなかったものの、随分と驚いた顔でもしていたのだろう。
シュウが不思議そうに聞いてくる。
「んでもねぇ…何の用だ」
カイトは、くるっと背中を向けた。
またディスプレイの方に視線をやって、どうでもいいようなプログラムの入力を始める。
いまの自分の心を、このロボットに知られないためだ。
彼女が来ることを予測していたなんて―― そのために、思い切り神経を使っていたなんて。
「ええ、先日の…」
土曜日の真っ昼間だというのに、また仕事の話が始まる。
仏頂面で、さして資料に目をやりもせずに、カイトはプログラミングで忙しいというオーラを出し続けた。
言葉短く、持ってこられた仕事に指示を出す。
「分かりました…それでは、その方向で仕事を進めて置きます」
シュウは、プログラムには興味はない。
その方面の勉強はしていないのだ。
だから、内容について何もコメントを挟んできたりはしなかった。
ちなみに、副社長が自社で開発したゲームをやっているところは、一度たりとも見たことはない。
どれだけ緊張して、そこにメイが現れるのを待っていたか、この唐変木には一生伝わらないだろう。
思い切り、彼は読みを外してしまったのだ。
まさか、もう帰って来ているとは。
車の音に意識を向けていなかったのが、カイトの敗因である。
「どうかしましたか?」
実際、椅子から転げ落ちはしなかったものの、随分と驚いた顔でもしていたのだろう。
シュウが不思議そうに聞いてくる。
「んでもねぇ…何の用だ」
カイトは、くるっと背中を向けた。
またディスプレイの方に視線をやって、どうでもいいようなプログラムの入力を始める。
いまの自分の心を、このロボットに知られないためだ。
彼女が来ることを予測していたなんて―― そのために、思い切り神経を使っていたなんて。
「ええ、先日の…」
土曜日の真っ昼間だというのに、また仕事の話が始まる。
仏頂面で、さして資料に目をやりもせずに、カイトはプログラミングで忙しいというオーラを出し続けた。
言葉短く、持ってこられた仕事に指示を出す。
「分かりました…それでは、その方向で仕事を進めて置きます」
シュウは、プログラムには興味はない。
その方面の勉強はしていないのだ。
だから、内容について何もコメントを挟んできたりはしなかった。
ちなみに、副社長が自社で開発したゲームをやっているところは、一度たりとも見たことはない。