冬うらら~猫と起爆スイッチ~

「でも…でも!」

 メイは食い下がる。

 そこにしか、自分の居場所を見つけられないかのように。

 おめーは!

 ここにいりゃあ。

 それだけで。

 思いはよぎるけれども、それをどうしても彼女には言えない。

 何一つ理由を説明できないからだ。

 説明するには、たくさんの地雷を踏まなければならない―― そして、踏み終わった後は、彼女を失って即死だ。

 だから、ぐっと思いを飲み込む。

「大急ぎで作りますから!」

 何を勘違いしたのか、メイは身を翻そうとした。

 大急ぎで作られてたまるか!

 慌てたカイトは、ばっとその腕を掴んで止める。
 そのまま、一緒に部屋から引きずり出す。

「あっ…」

 その力に押されて、驚き戸惑った声が上がる。

 気をつけなければ、またさっきの二の舞になりそうだった。

 何とかカイトは、頭に昇る血を収めた。

 っかやろう。

 見上げてくる不安そうな目に、カイトは苦しい音を呟いた。

「おめーも行くんだよ」

 人として、健全な食事をしなければならないのは、メイも一緒だったのだ。
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