冬うらら~猫と起爆スイッチ~
□
「待て、コラ!」
カイトは、その水を止めさせた。
「はい?」
いきなりストップをさせられると思っていなかったらしく、キョトンとした目がカイトに向けられる。
ケバイ化粧の仮面が、一瞬はずれたかのように見えた。
おびえもない、ひどく素直な表情だったからだ。
「おめーが作ろうとしてんのは、水割りなのかよ……マジで」
クックック。
カイトは肩を震わせた。
グラスに半分もウィスキーを入れて、それを水で割ってどうしようというのか。
指一本か、二本分でやめとけ、というところだった。
「え……あ……私、間違えました?」
彼女の目が落ち着かなく泳ぐ。
「ああもう……ロックでいいぜ」
笑いを我慢しながら、カイトはグラスを奪った。
取った拍子に、カランとグラスが回って。
カイトは、ようやく一杯目の酒にありつけたのである。
水差しを持ったまま――茶色の目が、どうしたらいいか分からないかのように、カイトをじーっと見ていた。
「ん? おめーも飲むか?」
カイトは自分のグラスの氷をカラカラ言わせた。
すると、彼女は思いきりブンブンと首を横に振ったのだ。
とんでもない、と言わんばかりに。
うーん。
カイトは半目になりながら、グラスを置いた。
ポケットからタバコを出す。
何で、こんな女がこんなトコロで働いてんだ?
そう疑問に思いながら、タバコをくわえる。
口で、タバコの先を上下させながら――しかし、ちっとも火がつかない。
カイトは、隣を見た。
彼女は。
まだ水差しを持ったまま、じーっと彼を見ていた。
次に何をしたらいいか分からないかのような茶色の目。
化粧で化けられないその目が、ただ、彼を見ていたのである。
「ぶっ……」
カイトは吹き出した。
吹き出した拍子に、くわえていたタバコが落ちたが気にもしなかった。
「ぶわっはっはー!!」
肺に思い切り空気を入れて。
カイトは大爆笑していた。
「待て、コラ!」
カイトは、その水を止めさせた。
「はい?」
いきなりストップをさせられると思っていなかったらしく、キョトンとした目がカイトに向けられる。
ケバイ化粧の仮面が、一瞬はずれたかのように見えた。
おびえもない、ひどく素直な表情だったからだ。
「おめーが作ろうとしてんのは、水割りなのかよ……マジで」
クックック。
カイトは肩を震わせた。
グラスに半分もウィスキーを入れて、それを水で割ってどうしようというのか。
指一本か、二本分でやめとけ、というところだった。
「え……あ……私、間違えました?」
彼女の目が落ち着かなく泳ぐ。
「ああもう……ロックでいいぜ」
笑いを我慢しながら、カイトはグラスを奪った。
取った拍子に、カランとグラスが回って。
カイトは、ようやく一杯目の酒にありつけたのである。
水差しを持ったまま――茶色の目が、どうしたらいいか分からないかのように、カイトをじーっと見ていた。
「ん? おめーも飲むか?」
カイトは自分のグラスの氷をカラカラ言わせた。
すると、彼女は思いきりブンブンと首を横に振ったのだ。
とんでもない、と言わんばかりに。
うーん。
カイトは半目になりながら、グラスを置いた。
ポケットからタバコを出す。
何で、こんな女がこんなトコロで働いてんだ?
そう疑問に思いながら、タバコをくわえる。
口で、タバコの先を上下させながら――しかし、ちっとも火がつかない。
カイトは、隣を見た。
彼女は。
まだ水差しを持ったまま、じーっと彼を見ていた。
次に何をしたらいいか分からないかのような茶色の目。
化粧で化けられないその目が、ただ、彼を見ていたのである。
「ぶっ……」
カイトは吹き出した。
吹き出した拍子に、くわえていたタバコが落ちたが気にもしなかった。
「ぶわっはっはー!!」
肺に思い切り空気を入れて。
カイトは大爆笑していた。