冬うらら~猫と起爆スイッチ~
□
何だ……今の。
手を見る。
まだ、覚えている。
手が、メイを覚えている。
違う。
カイトは、頭を振った。
それどころか、手に一気に血が集まっているかのように熱くなってきたのだ。
いや、本当は――手だけじゃなかった。
ランパブで、ウィスキーを一気した後と同じ熱が、いやそれ以上の熱が身体に回ったのだ。
いまごろ……酔っちまったのか?
ありえないことを思いながら、けれども、そう思わずにはいられなかった。
ただ、分かったことがあった。
この女に――さわれねぇ。
触ったら、ヤバイ気がした。
頭の中の信号が、エラー・ステータスを返してくるが、そのエラー内容はこれまで彼が見たことのない番号だった。
なのに。
なのに、まだ手がさっきの彼女の感触を忘れないのである。
彼は、その手で自分の顎を掴んで、違う感触にすり替えてしまおうとした。
けれども、自分のものとは違う熱が、まだしつこく手にかぶっている。
メイはうつむいたままだ。
頭の上で、彼がどんな葛藤をしているかなんて、知りもしないのである。
奥歯を強く噛んだ。
強く噛んでいないと、信じられないことに、また彼女に触ってしまいそうだった。
ヤバイと、ちゃんと自覚したにも関わらず。
目をそらして、ゆっくりと顎を緩める。
息をつく。
自分を落ちつかせようとした。
女一人に、何をワケの分からない状態になっているんだ、オレは――催眠術のようにそう繰り返し言い聞かせる。
そうして、少しだけ落ち着けた。
「……もう……しねーでいいから……来い」
カイトは、できるだけ静かにそう言った。
何だ……今の。
手を見る。
まだ、覚えている。
手が、メイを覚えている。
違う。
カイトは、頭を振った。
それどころか、手に一気に血が集まっているかのように熱くなってきたのだ。
いや、本当は――手だけじゃなかった。
ランパブで、ウィスキーを一気した後と同じ熱が、いやそれ以上の熱が身体に回ったのだ。
いまごろ……酔っちまったのか?
ありえないことを思いながら、けれども、そう思わずにはいられなかった。
ただ、分かったことがあった。
この女に――さわれねぇ。
触ったら、ヤバイ気がした。
頭の中の信号が、エラー・ステータスを返してくるが、そのエラー内容はこれまで彼が見たことのない番号だった。
なのに。
なのに、まだ手がさっきの彼女の感触を忘れないのである。
彼は、その手で自分の顎を掴んで、違う感触にすり替えてしまおうとした。
けれども、自分のものとは違う熱が、まだしつこく手にかぶっている。
メイはうつむいたままだ。
頭の上で、彼がどんな葛藤をしているかなんて、知りもしないのである。
奥歯を強く噛んだ。
強く噛んでいないと、信じられないことに、また彼女に触ってしまいそうだった。
ヤバイと、ちゃんと自覚したにも関わらず。
目をそらして、ゆっくりと顎を緩める。
息をつく。
自分を落ちつかせようとした。
女一人に、何をワケの分からない状態になっているんだ、オレは――催眠術のようにそう繰り返し言い聞かせる。
そうして、少しだけ落ち着けた。
「……もう……しねーでいいから……来い」
カイトは、できるだけ静かにそう言った。