冬うらら~猫と起爆スイッチ~
□
「……は…い」
ひどく震えた声を、彼女が出した。
きっと、彼が怒ったように腕を掴んだせいだ。
それで、怖くなったに違いない。
カイトはそう思った。
ズキズキッ。
怖がらせるつもりなどなかった。
ただ、彼女にそんなことはしなくていい、と。
そう伝えたかっただけなのだ。
そのために連れてきたのではないのだから。
しかし、言葉や態度のフォローを何一つ自分で出来ないまま、カイトは彼女がゆっくりと立ち上がるのを見ていた。
水色のシャツから伸びる脚。
下の方を見ないように、カイトは視線を上げた。
しかし、そこからも彼は目をそらさなければならないのだ。
シャツは、女の素肌には薄すぎたのである。
クソッ。
今更、他のシャツを探せる余裕もなく、メイを見ないようにするので精一杯だった。
くるっと背中を向ける、というのが一番てっとり早く、彼はそうした。
脚を振り出すようにして、脱衣所を先に出る。
後ろから静かな足音が続いた。
カイトが、止まる。
後ろの足音も止まる。
カイトが歩く。
後ろの足音も歩く。
また止まる。
後ろも止まる。
きっと、そんなに遠くない距離。
そこに――さっき触れた彼女がいる。
薄いシャツ一枚で。
しかし、振り返れないのだ。
振り返ったら、また彼女の身体を見てしまうのだから。
下着姿でもタオル姿でも、結局シャツの姿でも。
どれも、全然ダメだった。
彼女の役に立つようなものが、何一つないのだ。ここには。
一番簡単な方法がある。
彼女を追い出すことだ。
「……は…い」
ひどく震えた声を、彼女が出した。
きっと、彼が怒ったように腕を掴んだせいだ。
それで、怖くなったに違いない。
カイトはそう思った。
ズキズキッ。
怖がらせるつもりなどなかった。
ただ、彼女にそんなことはしなくていい、と。
そう伝えたかっただけなのだ。
そのために連れてきたのではないのだから。
しかし、言葉や態度のフォローを何一つ自分で出来ないまま、カイトは彼女がゆっくりと立ち上がるのを見ていた。
水色のシャツから伸びる脚。
下の方を見ないように、カイトは視線を上げた。
しかし、そこからも彼は目をそらさなければならないのだ。
シャツは、女の素肌には薄すぎたのである。
クソッ。
今更、他のシャツを探せる余裕もなく、メイを見ないようにするので精一杯だった。
くるっと背中を向ける、というのが一番てっとり早く、彼はそうした。
脚を振り出すようにして、脱衣所を先に出る。
後ろから静かな足音が続いた。
カイトが、止まる。
後ろの足音も止まる。
カイトが歩く。
後ろの足音も歩く。
また止まる。
後ろも止まる。
きっと、そんなに遠くない距離。
そこに――さっき触れた彼女がいる。
薄いシャツ一枚で。
しかし、振り返れないのだ。
振り返ったら、また彼女の身体を見てしまうのだから。
下着姿でもタオル姿でも、結局シャツの姿でも。
どれも、全然ダメだった。
彼女の役に立つようなものが、何一つないのだ。ここには。
一番簡単な方法がある。
彼女を追い出すことだ。