冬うらら~猫と起爆スイッチ~

 早く彼に教えてあげようとした。

 けど、指摘されるのはイヤかも。

 だけど、このままずっとくっつけていたら。

 すぐに気づくかなぁ。

 どうしよう。

 メイは、彼に伝えるタイミングを計ろうとしては口をつぐんだ。

 そのまま2分が経過して―― やっぱり言おう! と心に決めて顔を上げた時。

 ピンポーン。

 そういう音がした。

 動きを止める。

 呼び鈴の音だ。

 誰か来たのである。

 彼女は、慌てて視線をさまよわせた。
 カイトの後ろの方にあるドアを見たのだ。

 誰もそこにいるはずなどない。

 お客は玄関に来たのだから。

 どうしたらいいんだろう。

 カイトを見ると、相変わらず食事を続けている。

 最初から、チャイムなど聞こえていなかったかのように。

 これは、メイが出るべきなのだろうか。

 彼女が腰を浮かせかけた時、ギロッと睨まれて。
 慌てて椅子に戻った。

「ほっとけ…シュウの野郎が出る」

 お茶を掴んで飲みながら、カイトは不機嫌そうに言う。

 ああ。

 時々、忘れそうになるが、この家にはもう一人いるのだ。

 シュウの部屋から出されるゴミ袋の中には、複数のパッケージの固形食品の箱が、必ず入っている。

 それが食事なのだろう。

 メイは、まだ彼の部屋の掃除はしたことがない。

 ハルコも、ほとんど掃除の必要はないのだと言う。

 それどころか、触っては行けない聖地がたくさんあるので、メイは入らない方がいいだろうとも言われた。
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