冬うらら~猫と起爆スイッチ~
□
ハルコは、テーブルの上にお盆を置いた。
コーヒーと紅茶が並べられる。
メイはソファの側まで近付いては来たが、まだそこに立っている。
彼女の分の紅茶は、カイトの隣の席に置かれていた。
ハルコは、ソウマの横に座る。
メイはまだ立っていた。
イラッ。
来たなら来たでしょうがないから座れ、と思うのだが―― ここで怒鳴りでもしたら、またイヤなツッコミが入るだろうことは、よく分かっていたので、ぎゅっと口を閉ざす。
「はやくいらっしゃい」
幸い、ハルコが助け船を出してくれたので解決した。
メイは、しばらくキョロキョロと自分の行き場を探していたが、最後はおずおずとカイトの隣の席にやってくる。
まるで学校の校長室に呼び出された生徒のような恐縮さで、小さくなるようにソファに座った。
彼女の体重を感じてへこむソファの余波は、カイトの方にも伝わってくる。
ちらっと横目で彼女の位置を確認する。
上まで見るワケではない。視線は下向きで、スカートの膝の位置を確認しただけだ。
そんなにすぐ側というワケでもないのだが、香りとか体温まで側にあるような気がして、とにかく落ち着かなかった。
「大事な話というのは…」
そう切り出されて、はっと前の方に顔を向ける。
ソウマだ。
彼はコーヒーを一口飲んで、またソーサーに戻すところだった。
「私たち2人に、プレゼントが来たんだ」
勿体ぶった口調だ。
マジシャンが、美女を忽然と消した箱を開けて見せる時のような、そんな感じ。
ソウマは、ステッキを持ってはいなかったが。
「あぁ?」
怪訝に眉を顰めた。
そういう言葉遊びは嫌いなのだ。
とっとと用件だけを簡潔に言え、というアピールだった。
そして、早く『帰れ』というのが正直な気持ち。
それが分かったのか、ソウマもハルコも同時に、にこっと笑った。
いつもの、カイトをからかおうとする時の顔なんかじゃなかった。
もっと違う顔。
ハルコは、テーブルの上にお盆を置いた。
コーヒーと紅茶が並べられる。
メイはソファの側まで近付いては来たが、まだそこに立っている。
彼女の分の紅茶は、カイトの隣の席に置かれていた。
ハルコは、ソウマの横に座る。
メイはまだ立っていた。
イラッ。
来たなら来たでしょうがないから座れ、と思うのだが―― ここで怒鳴りでもしたら、またイヤなツッコミが入るだろうことは、よく分かっていたので、ぎゅっと口を閉ざす。
「はやくいらっしゃい」
幸い、ハルコが助け船を出してくれたので解決した。
メイは、しばらくキョロキョロと自分の行き場を探していたが、最後はおずおずとカイトの隣の席にやってくる。
まるで学校の校長室に呼び出された生徒のような恐縮さで、小さくなるようにソファに座った。
彼女の体重を感じてへこむソファの余波は、カイトの方にも伝わってくる。
ちらっと横目で彼女の位置を確認する。
上まで見るワケではない。視線は下向きで、スカートの膝の位置を確認しただけだ。
そんなにすぐ側というワケでもないのだが、香りとか体温まで側にあるような気がして、とにかく落ち着かなかった。
「大事な話というのは…」
そう切り出されて、はっと前の方に顔を向ける。
ソウマだ。
彼はコーヒーを一口飲んで、またソーサーに戻すところだった。
「私たち2人に、プレゼントが来たんだ」
勿体ぶった口調だ。
マジシャンが、美女を忽然と消した箱を開けて見せる時のような、そんな感じ。
ソウマは、ステッキを持ってはいなかったが。
「あぁ?」
怪訝に眉を顰めた。
そういう言葉遊びは嫌いなのだ。
とっとと用件だけを簡潔に言え、というアピールだった。
そして、早く『帰れ』というのが正直な気持ち。
それが分かったのか、ソウマもハルコも同時に、にこっと笑った。
いつもの、カイトをからかおうとする時の顔なんかじゃなかった。
もっと違う顔。