冬うらら~猫と起爆スイッチ~

「あら、まあ…嬉しい」

 ハルコが目を細める。

「おいおい…オレの奥さんを口説くなよ」

 ソウマは笑って。

 てめぇら。

 拳をぎりぎりと握りながら、カイトは顔をひん曲げた。

「やめないでください!」

 しかし、意外にもそれを言ったのはメイだった。

 お?

 カイトは隣を見る。

 シミュレーションの予想が外れていたのだ。

 彼女も、一生懸命な目でハルコに訴えていた。

「あの…毎日じゃなくてもいいです。時々でもいいです。お仕事は、ほとんど私がしますから、あの…やめるなんて言わないで下さい」

 私、頑張りますから。

 メイは真剣だった。

 しかし、その内容はかなり気に入らない。

 彼女の言い方は、心の支えとして、ハルコが必要であるかのようだった。

 結局、仕事は全部自分がすると言っているも同然である。

「本当にそんなに必要にしてもらって嬉しいわ…そうね。あなたに手伝ってもらえたら、続けて行くことが出来るかもしれないわね」

 ハルコも、彼女の申し出に嬉しそうに反応した。

 その視線が、今度はカイトに向いた。

 メイの目も。

「それでいいかしら?」

 念押しの妊婦。

 カイトは答えた。

「ダメだ」

 ダメに決まってんだろ!
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