冬うらら~猫と起爆スイッチ~

「でも、せっかく協力してくれると言うんだから、してもらってもいいじゃないか…どうせ、食事の支度はしてもらってるんだろう?」

 もっともな助言をソウマも言った。

 メイは、現状の把握をうまく出来ないままではあったけれども、彼の言うことはもっともだと思った。

 ガタン。

 カイトは勢いよく席を立った。

 ソファの上に一人残されたメイは、その反動によろめいてしまいそうになる。

「何にも知らねーくせに、勝手なことばっか言うんじゃねぇ!」

 それは捨てゼリフ、もとい、捨て怒鳴りだった。

 ダンダンと強い足音で、肩をいからせて出て行ってしまったのである。

 バタン!

 ドアを閉ざしても足音が聞こえる。階段を降りていく音まで。

「あ…」

 どうして彼があんなに怒ったのか分からないメイは、不安に思いながら向かいの夫婦の方を見た。

 分かっているのは、いまソウマが地雷を踏んだということだけ。

「やれやれ…」

 ソウマは言った。

「ホントに…」

 ハルコも言った。


 なのに―― どうして2人とも、嬉しそうに笑っているのだろうか。
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