冬うらら~猫と起爆スイッチ~

 怖く……ないの?

 自分に問いかけてみる。
 その答えを探ろうとした時。

 ガタッ。

 カイトが振り返った。

 慌てて、視線をそらす。
 そらすだけでは、結局彼に見られてしまうのが分かって、寝返りをうつように背中を向けた。

 足音は、はっきり分かる。

 彼は乱暴に歩くから。

 自分の方に、近づいてきた。

 やっぱり……怖い!

 さっきの問いかけの答えがいきなり来る。

 どんどん、ベッドに近づいてくる足取りに、メイは身を震わせた。

 どうしよう、どうしよう、どうしよう。

 ドキンドキンドキンと、頭が熱くなっていく。

 身体が震えていく。

 いい答えが出るハズもないのに、無駄な考えを繰り返す。

 ギシッ。

 背中の方のベッドがきしんだ瞬間、メイは身体をビクッと強く震わせた。

 頭が真っ白になる。

 多分――多分、カイトはベッドに膝をかけたのだろう。

 彼女は身体を固くしたまま、動きを止めていた。

 ばさっ。

 毛布がめくられる。

 ど……どうしよう。

 ギシッとまたベッドがきしんで。

 今度は大きな重量が乗ったのが分かった。自分の身体の沈み方で。

 彼が――来る。

 背中の方から、カイトの気配がはっきりと伝わってくる。

 ビシビシと音を立てて、電波のように押し寄せてくるのだ。
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