冬うらら~猫と起爆スイッチ~

 と思ったら、彼女はベッドの上に転がっていて、ネクタイ姿の彼が自分の上にいたのだ。

 重力に逆らえないネクタイが、メイのパジャマの胸の上に乗っていた。

 首筋に唇が降る。

 彼の腕が、パジャマの裾から滑り込んできたのが分かる。

 メイの胸を。

 鎖骨の辺りに、強い唇を感じた。

 そして聞いた。

「メイ…」

 耳元で、彼が呼んだのだ。

「……だ」

 名前の後から追っかけた音の方は、きちんと聞こえなかった。

 けれども、身体が震える。
 彼の大きなてのひらが、メイをなでるからだ。

「…!」

 メイは、彼に向かって何かを叫んだ。


 自分のその声で―― 本当の朝が来た。
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