冬うらら~猫と起爆スイッチ~
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しかし、今回のは違う。
カイトが。
かぁ。
恥ずかしさに涙が浮かんでしまった。
自分が信じられなかったのだ。
たかが夢とは言え、あんなものを見てしまうなんて。
余りに浅ましい女になってしまったような気がした。
あきらめたフリをしながら、本当は全然それを出来ないでいるのではないだろうかと思ったのだ。
彼の側で朝食を作ったり、ネクタイを締める―― その特権を得たことを、優越感に浸っていたのではないだろうか。
苦しいパジャマの胸を、ぎゅっと握る。
息を止めた。
彼の表情や言葉がリフレインする。
唇に指で触れた。
なのに、夢の記憶は、ただの夢でしかない。
どんなに思い出そうとしても、もう思い出せない。
あの大きな手の感触も、ついさっきまでは思い出せたような気がしたのに、記憶の破片にも残っていない。
苦しい。
メイは目を閉じた。
頭の中によぎろうとする気持ちに、慌ててフタをする。
のに、まるで間に合わなくて、言葉が頭の中をこぼれ落ちた。
「好き…」
自分の膝に向かって、ついにその言葉を呟いてしまった。
あれは――メイの願望なのだ。
彼に触れたい、触れられたい。
好きだと言いたい、好きだと――!!!!
思考に急ブレーキをかけた。
それは禁止だったのだ。
自分が、このままここにいるためには、絶対に考えてはいけないこと。
メイは、その最悪の禁忌スレスレでUターンしたのだ。
夜明けまでまだ時間はあるのだけれども、もう一度眠るなんて出来そうもなかった。
しかし、今回のは違う。
カイトが。
かぁ。
恥ずかしさに涙が浮かんでしまった。
自分が信じられなかったのだ。
たかが夢とは言え、あんなものを見てしまうなんて。
余りに浅ましい女になってしまったような気がした。
あきらめたフリをしながら、本当は全然それを出来ないでいるのではないだろうかと思ったのだ。
彼の側で朝食を作ったり、ネクタイを締める―― その特権を得たことを、優越感に浸っていたのではないだろうか。
苦しいパジャマの胸を、ぎゅっと握る。
息を止めた。
彼の表情や言葉がリフレインする。
唇に指で触れた。
なのに、夢の記憶は、ただの夢でしかない。
どんなに思い出そうとしても、もう思い出せない。
あの大きな手の感触も、ついさっきまでは思い出せたような気がしたのに、記憶の破片にも残っていない。
苦しい。
メイは目を閉じた。
頭の中によぎろうとする気持ちに、慌ててフタをする。
のに、まるで間に合わなくて、言葉が頭の中をこぼれ落ちた。
「好き…」
自分の膝に向かって、ついにその言葉を呟いてしまった。
あれは――メイの願望なのだ。
彼に触れたい、触れられたい。
好きだと言いたい、好きだと――!!!!
思考に急ブレーキをかけた。
それは禁止だったのだ。
自分が、このままここにいるためには、絶対に考えてはいけないこと。
メイは、その最悪の禁忌スレスレでUターンしたのだ。
夜明けまでまだ時間はあるのだけれども、もう一度眠るなんて出来そうもなかった。