冬うらら~猫と起爆スイッチ~

 おかしい。

 はっきりと、カイトにもそれが見て取れた。

 朝食の席に来たのはいいが、彼女はよそよそしさの服を着ていたのである。

 第一に、まずカイトの方を見ようとしない。
 第二に、料理を置くなり逃げて行ってしまう。

 食事が始まっても違和感は拭えるどころか、どんどんと上り坂になっていった。

 いつもの沈黙と、明らかに違うのである。

 いつもの沈黙は、もっと心地よい。

 それに、今日はまだ『うめー』を要望されないのだ。
 カイトは、居心地悪く耳をかいた。

「うめー」

 そうして、ヤギな一言を呟きながらも、彼女の様子を観察する。

 みそ汁の椀を持ったまま。

 すると、メイは「あっ」という感じに肩を動かしたけれども、慌ててうつむいてお茶碗を取ったのだ。

 いつもなら、ここでにっこりが返ってくるはずだったのに。

 何があった!

 こうなると、もう朝食どころではない。

 向こうがこっちを見ないことをいいことに、カイトは彼女の行動を睨むような目で焼き付けていった。

 心当たりを必死で検索する。

 けれども、そのどちらを駆使しても答えはでなかった。

 気がつけば、もう出社しなければならない時間になっている。

 朝食を残すと彼女が変に思いそうで、慌てて残りを口の中に押し込みながら立ち上がった。

 そうして。

 そうして。

 そうし――シーン。

 何で、こねーんだ!!!!!!

 カイトは目をむいた。
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