冬うらら~猫と起爆スイッチ~
□
「あっ!」
その呼吸音のおかげか、声が生まれた。
メイの驚いたものだった。
はっと顔を上げると、彼女は席を立って慌てて近づいてくる。
ようやく我に返ったのだろう。
「すみません!」
謝るのは余計だけれども、とにかく白い指が彼から蛇を奪った。
ホッとした。
彼女は、カイトを避けたいワケではないと分かったからだ。
一度全部解かれる。
最初からやりなおしということなのだろう。
青い蛇。
そのブルー・スネークを笛で踊らせるように、メイはネクタイを結んでいく。
けれども、いつもよりもおぼつかない指だった。
一番最初に結んでもらった時のようなぎこちなさだ。
一度なんかは、細い方のネクタイを手から落としてしまって、慌てて握り直すという失敗までついてきた。
カイトから、彼女の表情は分からない。
いつもよりも下を向く角度で結んでいるからだ。
ムッとした。
やっぱり、絶対におかしいからである。
ネクタイを結ぶ時まで、こんな態度なんて。
いや、結ぶ時だからこそ、カイトにとっては大事な時間だと思っているからこそ、余計に面白くなかったのである。
「何かあったのかよ?」
だから。
つい、ぼそっと出てしまった。
「えっ?」
反射的に上に上げられた顔は―― ドキッ!
カイトは、身体が妙な硬直をしたのに気づいた。
メイは、真っ赤な顔をしていたのである。
どこもかしこも真っ赤。
一瞬、正常な思考が吹っ飛んだ彼ではあったけれども、次の瞬間にハッと現実に戻ってくる。
「おめー、まさか熱あんのか!?」
驚いたカイトは、でかい手を彼女の額に押しつけたのだった。
「あっ!」
その呼吸音のおかげか、声が生まれた。
メイの驚いたものだった。
はっと顔を上げると、彼女は席を立って慌てて近づいてくる。
ようやく我に返ったのだろう。
「すみません!」
謝るのは余計だけれども、とにかく白い指が彼から蛇を奪った。
ホッとした。
彼女は、カイトを避けたいワケではないと分かったからだ。
一度全部解かれる。
最初からやりなおしということなのだろう。
青い蛇。
そのブルー・スネークを笛で踊らせるように、メイはネクタイを結んでいく。
けれども、いつもよりもおぼつかない指だった。
一番最初に結んでもらった時のようなぎこちなさだ。
一度なんかは、細い方のネクタイを手から落としてしまって、慌てて握り直すという失敗までついてきた。
カイトから、彼女の表情は分からない。
いつもよりも下を向く角度で結んでいるからだ。
ムッとした。
やっぱり、絶対におかしいからである。
ネクタイを結ぶ時まで、こんな態度なんて。
いや、結ぶ時だからこそ、カイトにとっては大事な時間だと思っているからこそ、余計に面白くなかったのである。
「何かあったのかよ?」
だから。
つい、ぼそっと出てしまった。
「えっ?」
反射的に上に上げられた顔は―― ドキッ!
カイトは、身体が妙な硬直をしたのに気づいた。
メイは、真っ赤な顔をしていたのである。
どこもかしこも真っ赤。
一瞬、正常な思考が吹っ飛んだ彼ではあったけれども、次の瞬間にハッと現実に戻ってくる。
「おめー、まさか熱あんのか!?」
驚いたカイトは、でかい手を彼女の額に押しつけたのだった。