冬うらら~猫と起爆スイッチ~
□
自分は。
カイトは――彼女に触れたいのだ。
あの場所に置いておくのがイヤなだけなら、金で解放してバイバイでいいハズだった。
なのに、連れて帰って来た。
持て余すことなど、最初から分かっているというのに。
手で触れるだけじゃなくって、身体中で彼女を抱きしめたいのだ。
ま……待て。
カイトは、狼狽した。
こんな感じは、自分の中にこれまで一度だってなかったものだ。
どこにあったかすら、知らなかったものである。
そんなものがいきなり首をもたげて、切れ味のいいカマで、彼の心臓を人質に取ったのだ。
そうして、たった今、自分に言ったのだ。
『女を寄越せ……さもなくば……』
さもなくば?
ズキンズキンと胸が痛い。
人質に取られているせいだ。
物凄い速度で鼓動を叩きつける。
ま、待て……。
誰も急いでいないというのに、カイトはもう一度自分に言った。
何を、考えてるんだ、オレは。
自分を落ちつかせようとした。
なのに、腕も胸も彼に逆らうような感じがするのだ。
このままベッドに入れば、たとえ離れていたとしても、自分が意思とは違う状態に追いつめられそうな気がする。
「クソッ!」
カイトは唸った。
ダメ、だ。
こいつには、さわれねー! さわっちゃいけねぇんだ!
バッと毛布を戻し、ベッドから降りた。
こんなところで眠れっか!
枕元からリモコンをひっつかむと、カイトはソファに向かった。
彼が、自分のプライドとかそういうものを守るためには、そこで眠るしかないのである。
ソファに飛び込む。
もう、何も考えたくなかった。
考れば考えるほど、自分の胸に当てられたカマが、深く食い込むような気がするからである。
飛び込むなり、リモコンの消灯を押す。
ウダウダ考えるのは大嫌いだった。
自分は。
カイトは――彼女に触れたいのだ。
あの場所に置いておくのがイヤなだけなら、金で解放してバイバイでいいハズだった。
なのに、連れて帰って来た。
持て余すことなど、最初から分かっているというのに。
手で触れるだけじゃなくって、身体中で彼女を抱きしめたいのだ。
ま……待て。
カイトは、狼狽した。
こんな感じは、自分の中にこれまで一度だってなかったものだ。
どこにあったかすら、知らなかったものである。
そんなものがいきなり首をもたげて、切れ味のいいカマで、彼の心臓を人質に取ったのだ。
そうして、たった今、自分に言ったのだ。
『女を寄越せ……さもなくば……』
さもなくば?
ズキンズキンと胸が痛い。
人質に取られているせいだ。
物凄い速度で鼓動を叩きつける。
ま、待て……。
誰も急いでいないというのに、カイトはもう一度自分に言った。
何を、考えてるんだ、オレは。
自分を落ちつかせようとした。
なのに、腕も胸も彼に逆らうような感じがするのだ。
このままベッドに入れば、たとえ離れていたとしても、自分が意思とは違う状態に追いつめられそうな気がする。
「クソッ!」
カイトは唸った。
ダメ、だ。
こいつには、さわれねー! さわっちゃいけねぇんだ!
バッと毛布を戻し、ベッドから降りた。
こんなところで眠れっか!
枕元からリモコンをひっつかむと、カイトはソファに向かった。
彼が、自分のプライドとかそういうものを守るためには、そこで眠るしかないのである。
ソファに飛び込む。
もう、何も考えたくなかった。
考れば考えるほど、自分の胸に当てられたカマが、深く食い込むような気がするからである。
飛び込むなり、リモコンの消灯を押す。
ウダウダ考えるのは大嫌いだった。