冬うらら~猫と起爆スイッチ~

 電話でシュウと話した時、『私だったら、結婚しますが』と彼は言ったのである。

 それならお前が結婚しろ、と思ったが、きっと相手の女性も幸せにはなれないだろう。

 シュウの表現でいけば、まるで札束と結婚するようなものなのだから。

 とにかく、アオイの話を一番歓迎していたのはシュウだ。

 だから、わざわざお茶まで用意させようとしたのである。

 不測の事態の連続に、ソウマの予定は全部メチャクチャになった。

「オレは、もう知らんぞ…付き合いきれん」

 したたかコーヒーを眺めた後、ぼそっとそう言った。

 半分は本気だったが、もう半分は言葉通りには出来ないだろうと分かっていたけれども。

「あなたったら…」

 そんな彼のことを、理解しているのだろう。
 ハルコが、苦笑しながら隣に座ってきた。

「きっと大丈夫よ…うまくゆくわ。あんなに思い合っているんですもの…ね?」

「カイトが片っ端からブチ壊してるのに、いつまで彼女が我慢してくれるか…」

 妻の笑顔になだめられても、今日のソウマはまだ立ち直れそうになかった。
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