冬うらら~猫と起爆スイッチ~

 お風呂にも入って、寝る準備も終わって。

 彼女は布団の中に潜り込んだ。

 昨日はこんな風に丸くなって、彼が帰ってくる気配を探していた。

 今日は待つ必要などないのに眠れそうにない。
 夜にコーヒーなんかを飲んでしまったせいだろうか。

 そうなると、つい考えてしまう。

 カイトのことを。

 どうして、こんなに好きになってしまったのだろう。

 封印しても押さえ込んでも、せり上がってくるその気持ちに終わりなんかなかった。

 こんな危険な爆弾を抱えて、でも、これからもこの家に置いてもらうためには、爆弾を決して爆発させてはいけないのだ。

 信用を失わないためにも。

 メイは、出来るだけ考えないようにしながら、何とか眠ろうとした。

 けれども、余計な記憶や意識がそれを邪魔する。

 眠らなきゃ。

 明日は何もするなとは言われていない。

 だから、きっと朝食の準備もしていいはずだった。

 ちゃんと起きるためにも、ちゃんと眠らなければならないのに。

 それなのに、何度も今夜の映像がムービーで甦る。

 あの、お客を含めて5人の空間が巻き戻されて。

 しかし、そのテープはだんだん延びてきた。
 ようやく、メイの意識が眠りの縁に引きずり込まれようとしたのだ。

 その時。

『大の男が、何を使用人のことで騒いでいる』

 教授の声が、勝手に頭の中に流れた。

 それが落下感を生み、メイはびくっとして目を覚ます。

 あ。

 頭の中で、何かがつながった。

 その教授の言葉の後で、カイトは火のように怒ったのだ。
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