冬うらら~猫と起爆スイッチ~
12/08 Wed.
□107
昨夜はさんざんだった。
起きる少し前の意識の中で、カイトはそんなことを思った。
本当は、自力で目覚められるくらいの浅いところにいたのだが、彼は自分で陸に上がってこようとはしなかった。
「おはようございます…起きてください」
その浅瀬で立っていると、そんな声が聞こえてくる。
陸に上がる時がやってきたのだ。
うー。
うなりながら身体を起こす。
彼を水棲動物から進化させた生き物は、スカートの裾を翻らせるところだった。
「今日の朝は、なめことお豆腐のおみそ汁ですよ」
そう言えば、カイトが喜ぶとでも思っているのだろうか。
彼が、みそ汁に多大な興味とか関心を抱いているとでも。
ちゃんとベッドから起き上がった時は、ドアが閉ざされる時でもあって、彼女―― メイの姿は消えてなくなっていた。
スカートの裾だけでは、その人間と会ったとは言えないだろう。
会いたければ、用意を済ませてダイニングに行かなければならない。
寝癖のついた頭をかいて、彼はベッドから降り立った。
他人が絡むと、ムカつくことだらけだ。
カイトは電動ひげ剃りを当てながら、鏡の中の自分の仏頂面を見た。
昨日の件を見るまでもなく、いままで他人が絡むとロクなことがなかった。
シュウは元より、ソウマもアオイも、全部邪魔をしてくれるのだ。
彼女と二人でいる時は、問題がないワケではないのだが、最近は穏やかな空気を共有できつつある。
お互いに何も言うことはないけれども、それでも一緒にいられるだけで心地よいのだ。
それは、カイトの男な部分とは決して相容れるものではない。
けれども、その相容れない男とやらを、レーダーも通さないようなステルス製の箱の中にでも突っ込んでおけば、何とかなりそうだった。
なのに、だ。
邪魔者が入る度に、その誰かとやらがステルスに足をかけるのである。
昨夜はさんざんだった。
起きる少し前の意識の中で、カイトはそんなことを思った。
本当は、自力で目覚められるくらいの浅いところにいたのだが、彼は自分で陸に上がってこようとはしなかった。
「おはようございます…起きてください」
その浅瀬で立っていると、そんな声が聞こえてくる。
陸に上がる時がやってきたのだ。
うー。
うなりながら身体を起こす。
彼を水棲動物から進化させた生き物は、スカートの裾を翻らせるところだった。
「今日の朝は、なめことお豆腐のおみそ汁ですよ」
そう言えば、カイトが喜ぶとでも思っているのだろうか。
彼が、みそ汁に多大な興味とか関心を抱いているとでも。
ちゃんとベッドから起き上がった時は、ドアが閉ざされる時でもあって、彼女―― メイの姿は消えてなくなっていた。
スカートの裾だけでは、その人間と会ったとは言えないだろう。
会いたければ、用意を済ませてダイニングに行かなければならない。
寝癖のついた頭をかいて、彼はベッドから降り立った。
他人が絡むと、ムカつくことだらけだ。
カイトは電動ひげ剃りを当てながら、鏡の中の自分の仏頂面を見た。
昨日の件を見るまでもなく、いままで他人が絡むとロクなことがなかった。
シュウは元より、ソウマもアオイも、全部邪魔をしてくれるのだ。
彼女と二人でいる時は、問題がないワケではないのだが、最近は穏やかな空気を共有できつつある。
お互いに何も言うことはないけれども、それでも一緒にいられるだけで心地よいのだ。
それは、カイトの男な部分とは決して相容れるものではない。
けれども、その相容れない男とやらを、レーダーも通さないようなステルス製の箱の中にでも突っ込んでおけば、何とかなりそうだった。
なのに、だ。
邪魔者が入る度に、その誰かとやらがステルスに足をかけるのである。