冬うらら~猫と起爆スイッチ~
□
寝ちまえ!
そう自分に言って、カイトはリモコンを放り投げる。
なのに。
「あ……あのっ!」
ベッドの方から、驚いた声が飛んでくる。
かぁっと頭に血が昇った。
せっかく、彼女の存在を忘れようとしていたのに、それを無駄にされたからである。
「るせー……とっとと寝ろ!」
カイトは怒鳴った。
彼の身体から、メイを忘れさせて欲しかった。
二度と、手の熱が伝染したりしないように。
「え……でも……」
しかし、まだ食い下がる。
オロオロとした声で。
手が。
カイトは、顎に力を込めた。
そうして、くわっと開けた。
「でもも、ヘチマもねぇ! 寝ねーと犯すぞ!」
出来もしないことを怒鳴った。
いや、してはいけないことだ。
スレていない女なのだ、相手は。
何も知らないくせに、借金のカタにランパブである。
そんな女に何かするなら、カイトはヤクザや金貸しと同じ扱いになってしまうのだ。
彼の怒鳴りあってか、やっと静かになった。
それに、ふぅっと息を洩らす。
息を詰めていたらしいことに、そこで初めて気がついた。
カチカチと、どこかで時計の刻む小さな音だけが残っている。
慣れて気にならなくなっていた音なのに、カイトの耳につく。
るせー。
無意識に毒づく。
寝返りを打って、片方の耳をソファに押しつけるようにすると、今度は、まるでソファのスプリングの中に何かいるような音が聞こえる。
何もいるはずはないのだ。
ただ、耳をぴったりくっつけたせいで、小さな音まで拾ってしまっただけである。
るせーっつってんだよ!
頭の角度を変えて、耳だけはソファに直接押しつけないようにずらす。
少しはマシになった。
チクショウ……。
カイトは――無意識に、彼女に触れた手を押さえ込むように目を閉じた。
まだ、全然眠れそうになかった。
寝ちまえ!
そう自分に言って、カイトはリモコンを放り投げる。
なのに。
「あ……あのっ!」
ベッドの方から、驚いた声が飛んでくる。
かぁっと頭に血が昇った。
せっかく、彼女の存在を忘れようとしていたのに、それを無駄にされたからである。
「るせー……とっとと寝ろ!」
カイトは怒鳴った。
彼の身体から、メイを忘れさせて欲しかった。
二度と、手の熱が伝染したりしないように。
「え……でも……」
しかし、まだ食い下がる。
オロオロとした声で。
手が。
カイトは、顎に力を込めた。
そうして、くわっと開けた。
「でもも、ヘチマもねぇ! 寝ねーと犯すぞ!」
出来もしないことを怒鳴った。
いや、してはいけないことだ。
スレていない女なのだ、相手は。
何も知らないくせに、借金のカタにランパブである。
そんな女に何かするなら、カイトはヤクザや金貸しと同じ扱いになってしまうのだ。
彼の怒鳴りあってか、やっと静かになった。
それに、ふぅっと息を洩らす。
息を詰めていたらしいことに、そこで初めて気がついた。
カチカチと、どこかで時計の刻む小さな音だけが残っている。
慣れて気にならなくなっていた音なのに、カイトの耳につく。
るせー。
無意識に毒づく。
寝返りを打って、片方の耳をソファに押しつけるようにすると、今度は、まるでソファのスプリングの中に何かいるような音が聞こえる。
何もいるはずはないのだ。
ただ、耳をぴったりくっつけたせいで、小さな音まで拾ってしまっただけである。
るせーっつってんだよ!
頭の角度を変えて、耳だけはソファに直接押しつけないようにずらす。
少しはマシになった。
チクショウ……。
カイトは――無意識に、彼女に触れた手を押さえ込むように目を閉じた。
まだ、全然眠れそうになかった。