冬うらら~猫と起爆スイッチ~
●108
「調子はどう?」
その声に、メイはびっくりして振り返ってしまった。
ハルコが現れたのである。
そういえば、今日は電話が来ていなかった。
それはイコール、彼女がやってくるということなのだが、無理をしてはいけない身体だということを踏まえて、今日も休みなのだろうと思っていたのだ。
「大丈夫なんですか?」
調理場の掃除をしていたメイは、慌てて雑巾を置いた。
ハルコの方こそ、人の調子を聞いている立場ではない。
「ああ、そんなに心配しないで…風邪もたいしたことはなかったし。それに、今日は仕事をしにきたワケじゃないから…家にいても退屈なんですもの。ちょっとおしゃべりに、ね」
カイト君には内緒よ。
そう、ハルコはウィンクをしてみせる。
「はい!」
彼女の身体が心配ではあるけれども、来てくれてとても嬉しかった。
その気持ちに、素直に返事をしてしまった。
「お茶いれますから、向こうに座っててください」
流しで手を洗って、メイはお湯をわかし始めた。
「ケーキを持ってきたんだけど…入るかしら?」
ハルコの掲げる白い小箱を見て、彼女は目を輝かせてしまった。
ここに来てから、一度もそういう甘い物を食べてなかったことを思い出したのだ。
カイトはケーキなどを食べる人ではないし、彼女はそんな無駄遣いができる立場ではなかったのだから。
「あの…朝食食べたばかりですから」
でも、意地汚いと思われるのが恥ずかしくて、遠慮する言葉を選んだ。
すると、ハルコは笑って。
「あら、入るところは別でしょう?」
女性のために存在する無敵の発言には、メイも勝てなかった。
「調子はどう?」
その声に、メイはびっくりして振り返ってしまった。
ハルコが現れたのである。
そういえば、今日は電話が来ていなかった。
それはイコール、彼女がやってくるということなのだが、無理をしてはいけない身体だということを踏まえて、今日も休みなのだろうと思っていたのだ。
「大丈夫なんですか?」
調理場の掃除をしていたメイは、慌てて雑巾を置いた。
ハルコの方こそ、人の調子を聞いている立場ではない。
「ああ、そんなに心配しないで…風邪もたいしたことはなかったし。それに、今日は仕事をしにきたワケじゃないから…家にいても退屈なんですもの。ちょっとおしゃべりに、ね」
カイト君には内緒よ。
そう、ハルコはウィンクをしてみせる。
「はい!」
彼女の身体が心配ではあるけれども、来てくれてとても嬉しかった。
その気持ちに、素直に返事をしてしまった。
「お茶いれますから、向こうに座っててください」
流しで手を洗って、メイはお湯をわかし始めた。
「ケーキを持ってきたんだけど…入るかしら?」
ハルコの掲げる白い小箱を見て、彼女は目を輝かせてしまった。
ここに来てから、一度もそういう甘い物を食べてなかったことを思い出したのだ。
カイトはケーキなどを食べる人ではないし、彼女はそんな無駄遣いができる立場ではなかったのだから。
「あの…朝食食べたばかりですから」
でも、意地汚いと思われるのが恥ずかしくて、遠慮する言葉を選んだ。
すると、ハルコは笑って。
「あら、入るところは別でしょう?」
女性のために存在する無敵の発言には、メイも勝てなかった。