冬うらら~猫と起爆スイッチ~
●
「イチゴとチョコレートとチーズとモンブラン…どれが好き?」
箱を開けながら、ハルコは楽しそうに種類を言った。
ほのかに甘い匂いが漂う。
無意識に胸がどきどきしてしまうのは、甘いもの好きの悪いクセか。
「そんなにたくさんあるんですか?」
覗き込むと6個も入っていた。二人で食べるにしては、ちょっと多くはないだろうか。
「何だか味覚が変わっちゃって…時々、無性に甘いものが食べたくなるのよ」
お医者様には、内緒にしとかないと。
しっと人差し指を立てるハルコは、いつもの大人びた雰囲気とはちょっと違う色をしていた。
甘いもの好き同士の親近感で、二人顔を見合わせてふふっと笑った。
「それじゃあ、モンブランを…」
普通のモンブランは黄色なのに、このモンブランは薄灰色をしている。
どんな味か興味があった。
「いい目をしてるわね…ここは、一番モンブランがおいしいのよ。このクリームの色はね、渋皮が…」
そんな風に、ひとしきりケーキの話題で盛り上がってしまった。
「おいしかったです…」
銀紙をフォークで畳みながら、メイは幸せのためいきをついた。
やっぱりケーキは、すごく幸せにしてくれる食べ物なのだ。
「カイト君と一緒じゃ、甘いものなんて食べられないでしょ?」
クスクスと笑いながら、ハルコもフォークを置いた。
はぁ、と曖昧に返事をしながら、紅茶のカップに手をかける。
「そうなのよねぇ…本当にカイト君ときたら唐変木でしょう? いろいろ、あなたがつらい思いをしてるんじゃないかと心配なのよ」
ハルコの口から、しみじみとそんな言葉が出てしまってびっくりする。
彼女の立場を心配してくれているのだ。
「あ、あの! そんなことないです! つらい思いなんて…!」
慌てて否定する。
どうにも誤解があるらしい。
ソウマとどんな話をしているのかは分からないが、このままでは彼の立場が悪くなってしまう。
メイは誤解を解くために強い口調で反論したのだ。
「イチゴとチョコレートとチーズとモンブラン…どれが好き?」
箱を開けながら、ハルコは楽しそうに種類を言った。
ほのかに甘い匂いが漂う。
無意識に胸がどきどきしてしまうのは、甘いもの好きの悪いクセか。
「そんなにたくさんあるんですか?」
覗き込むと6個も入っていた。二人で食べるにしては、ちょっと多くはないだろうか。
「何だか味覚が変わっちゃって…時々、無性に甘いものが食べたくなるのよ」
お医者様には、内緒にしとかないと。
しっと人差し指を立てるハルコは、いつもの大人びた雰囲気とはちょっと違う色をしていた。
甘いもの好き同士の親近感で、二人顔を見合わせてふふっと笑った。
「それじゃあ、モンブランを…」
普通のモンブランは黄色なのに、このモンブランは薄灰色をしている。
どんな味か興味があった。
「いい目をしてるわね…ここは、一番モンブランがおいしいのよ。このクリームの色はね、渋皮が…」
そんな風に、ひとしきりケーキの話題で盛り上がってしまった。
「おいしかったです…」
銀紙をフォークで畳みながら、メイは幸せのためいきをついた。
やっぱりケーキは、すごく幸せにしてくれる食べ物なのだ。
「カイト君と一緒じゃ、甘いものなんて食べられないでしょ?」
クスクスと笑いながら、ハルコもフォークを置いた。
はぁ、と曖昧に返事をしながら、紅茶のカップに手をかける。
「そうなのよねぇ…本当にカイト君ときたら唐変木でしょう? いろいろ、あなたがつらい思いをしてるんじゃないかと心配なのよ」
ハルコの口から、しみじみとそんな言葉が出てしまってびっくりする。
彼女の立場を心配してくれているのだ。
「あ、あの! そんなことないです! つらい思いなんて…!」
慌てて否定する。
どうにも誤解があるらしい。
ソウマとどんな話をしているのかは分からないが、このままでは彼の立場が悪くなってしまう。
メイは誤解を解くために強い口調で反論したのだ。