冬うらら~猫と起爆スイッチ~
●
「あっ、あの…昨日は雨で、お米がきれて…それで!」
メイは、うまく回らない舌を動かしながら、分かってもらおうとした。
そういうのじゃないのだと。
しかし、一体どういうのと誤解されているのかさえも、よく分かっていなかった。
ただ、この気持ちが分かる材料にならないようにと必死だったのである。
「それで、優しいカイトくんがお米を買いに出てくれたわけね?」
内容的にはまったく問題がないのだが、ハルコの口調には深みがあるので、もっと複雑なことをたくさん隠しているような気がする。
いつもの微笑みなのだが、こうなると疑心暗鬼になってしまって、違う気持ちを表している笑みにも見えた。
「それとも…一緒に買い物に行ったのかしら?」
途中まで合っていた話の道筋が、すっと逸れ出す。
「ち、違います! 私、知らなかったんです!」
買いに行ってくれてるなんて。
買ってきてやる、とは言われた。
でも、それがまさか昨日だなんて思いもしなかったのだ。
気づいたら、ここにお米が3袋。
「まるでカサ地蔵ね…」
結局、事情のほとんどをしゃべらされてしまった。
ハルコは、笑いをこらえられないように肩を震わせている。
カイトが、からかわれる材料を作ってしまったような気がして、心配になってしまった。
「あなたは、どこかで雪のお地蔵様に、カサをかぶせてあげたのかしら?」
まだ微笑みを止められないまま、ハルコが意味深なことを言う。
メイは、それにうつむいてしまった。
カサをかぶせてもらったのは、彼女の方だったのだ。
雪の日ではなかったけれども、あんな格好のメイに背広の上着を着せかけてくれた。
最終的には毛皮になってしまったが、あの時のことは忘れない。
恩返しをしなければならないのは、自分の方なのに。
せいぜいご飯を作って、身の回りのお世話を、ほんのちょっと出来る程度だ。
しかも困ったことに、カイトがイヤがるので、堂々とできないのである。
「あっ、あの…昨日は雨で、お米がきれて…それで!」
メイは、うまく回らない舌を動かしながら、分かってもらおうとした。
そういうのじゃないのだと。
しかし、一体どういうのと誤解されているのかさえも、よく分かっていなかった。
ただ、この気持ちが分かる材料にならないようにと必死だったのである。
「それで、優しいカイトくんがお米を買いに出てくれたわけね?」
内容的にはまったく問題がないのだが、ハルコの口調には深みがあるので、もっと複雑なことをたくさん隠しているような気がする。
いつもの微笑みなのだが、こうなると疑心暗鬼になってしまって、違う気持ちを表している笑みにも見えた。
「それとも…一緒に買い物に行ったのかしら?」
途中まで合っていた話の道筋が、すっと逸れ出す。
「ち、違います! 私、知らなかったんです!」
買いに行ってくれてるなんて。
買ってきてやる、とは言われた。
でも、それがまさか昨日だなんて思いもしなかったのだ。
気づいたら、ここにお米が3袋。
「まるでカサ地蔵ね…」
結局、事情のほとんどをしゃべらされてしまった。
ハルコは、笑いをこらえられないように肩を震わせている。
カイトが、からかわれる材料を作ってしまったような気がして、心配になってしまった。
「あなたは、どこかで雪のお地蔵様に、カサをかぶせてあげたのかしら?」
まだ微笑みを止められないまま、ハルコが意味深なことを言う。
メイは、それにうつむいてしまった。
カサをかぶせてもらったのは、彼女の方だったのだ。
雪の日ではなかったけれども、あんな格好のメイに背広の上着を着せかけてくれた。
最終的には毛皮になってしまったが、あの時のことは忘れない。
恩返しをしなければならないのは、自分の方なのに。
せいぜいご飯を作って、身の回りのお世話を、ほんのちょっと出来る程度だ。
しかも困ったことに、カイトがイヤがるので、堂々とできないのである。