冬うらら~猫と起爆スイッチ~
□113
今日は、珍しくカイトにとって腹の立つことも起きなかった。
すっかりアオイ教授もなりをひそめ、シュウも諦めたようで、あの話題を持ち出してくることはなかった。
家に帰ると、メイが「おかえりなさい」を言ってくれる。
夕食を取る。
部屋に戻って一息つく。
静かで幸せな時間だ。
本当ならここで風呂にでも入るのだが、いまの彼はその行動が起こせなかった。
昨日のお茶事件が、尾を引いているのである。
メイが、何の予告もナシにお茶を持ってきたのだ。大した話もなかったのに。
ということは。
今日もお茶を持ってくる可能性があった。
もしも、その時に風呂に入っていてノックの音が聞こえなかったりしたら、そのまま帰られてしまうような気がしたのだ。
昨日だけ、たまたまお茶を持ってきたということだってありえる。
そのどちらか判別つかずに―― しかし、風呂に入れないままだった。
結果、部屋の中をウロウロしている自分に気づいてムッとする。
何やってんだ!
自分を罵倒して、机の前に座る。
彼のこういう落ち着かない気分を沈めてくれる鎮静剤が、そこにはあるのだ。
電源を入れる。
パソコンは、カイトににっこり笑うことはなかったが、青空の中で窓が飛んで歓迎してくれた。
全然、嬉しくはなかったけれども。
こうやって、何気なくパソコンを使っていればいいのである。
そうすれば、彼女が来たとしても何の違和感もなく迎え入れられるのだ。
しかし、どうしても集中できない。
背中の方にばかり意識が行ってしまって、何度も顔を顰めては、ディスプレイの方に戻そうとした。
だが、一向にメイが来る様子はない。
9時半を回ったが、気配すらないのである。
やっぱり、昨日のあれは一過性のものだったのかもしれない。
今日は、珍しくカイトにとって腹の立つことも起きなかった。
すっかりアオイ教授もなりをひそめ、シュウも諦めたようで、あの話題を持ち出してくることはなかった。
家に帰ると、メイが「おかえりなさい」を言ってくれる。
夕食を取る。
部屋に戻って一息つく。
静かで幸せな時間だ。
本当ならここで風呂にでも入るのだが、いまの彼はその行動が起こせなかった。
昨日のお茶事件が、尾を引いているのである。
メイが、何の予告もナシにお茶を持ってきたのだ。大した話もなかったのに。
ということは。
今日もお茶を持ってくる可能性があった。
もしも、その時に風呂に入っていてノックの音が聞こえなかったりしたら、そのまま帰られてしまうような気がしたのだ。
昨日だけ、たまたまお茶を持ってきたということだってありえる。
そのどちらか判別つかずに―― しかし、風呂に入れないままだった。
結果、部屋の中をウロウロしている自分に気づいてムッとする。
何やってんだ!
自分を罵倒して、机の前に座る。
彼のこういう落ち着かない気分を沈めてくれる鎮静剤が、そこにはあるのだ。
電源を入れる。
パソコンは、カイトににっこり笑うことはなかったが、青空の中で窓が飛んで歓迎してくれた。
全然、嬉しくはなかったけれども。
こうやって、何気なくパソコンを使っていればいいのである。
そうすれば、彼女が来たとしても何の違和感もなく迎え入れられるのだ。
しかし、どうしても集中できない。
背中の方にばかり意識が行ってしまって、何度も顔を顰めては、ディスプレイの方に戻そうとした。
だが、一向にメイが来る様子はない。
9時半を回ったが、気配すらないのである。
やっぱり、昨日のあれは一過性のものだったのかもしれない。