冬うらら~猫と起爆スイッチ~
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距離が短くなっていくにつれ、だんだんと輪郭がはっきりしてくる。
彼は横を向いて眠っていた。
顔の向いている方に回って、覗き込む。
ドキン。
毎朝、この距離になると胸がドキドキする。
起こすのをためらう瞬間でもあった。
こげ茶の髪は、横を向いているせいで流れ気味に逆立っていて、薄く開いた唇が、呼吸を繰り返している。
ゆるやかに閉じられているまぶたは、しかし、ぴくりともする様子はなかった。
ぐっすり眠っているようである。
はっ。
思い切り見とれてしまっていたメイは、ようやく我に返った。
彼が寒くなく会社に行けるかもしれないのに、それを無駄にしてしまいそうになったのだ。
でも…どうしよう。
こんなにぐっすり眠っているのに起こすのは忍びなかった。
やっぱり、いつも通りの時間に起こそうかな。
結局、それ以上強気になれずに部屋を出て行こうかと思った。
「……!」
しかし、驚いて動きを止める。
ぱちっと――目が開いたのだ。何の前触れもなく。
あ。
ど、ど、ど、どうしようー!!!!
まさか、こんなことになるなんて思っていなくて、パニックになった。
せっかく心で決着しかけた予定が、いきなり狂ってしまったのである。
混乱したままでいると、カイトは何度か瞬きをした。
それから、焦点を合わせるように目を細めたのだ。
「あ…おはようございます」
相手が起きてしまってはしょうがない。
とりあえず、朝の挨拶にかかる。
布団の中から手が出てきて、自分の顔を一度強くなでる動きをした。
それから、ギシッとベッドをきしませる。
身体をよじって、枕元の時計を見たのだ。
ああー。
穴があったら入りたかった。
不審に思うのは間違いないかった。
距離が短くなっていくにつれ、だんだんと輪郭がはっきりしてくる。
彼は横を向いて眠っていた。
顔の向いている方に回って、覗き込む。
ドキン。
毎朝、この距離になると胸がドキドキする。
起こすのをためらう瞬間でもあった。
こげ茶の髪は、横を向いているせいで流れ気味に逆立っていて、薄く開いた唇が、呼吸を繰り返している。
ゆるやかに閉じられているまぶたは、しかし、ぴくりともする様子はなかった。
ぐっすり眠っているようである。
はっ。
思い切り見とれてしまっていたメイは、ようやく我に返った。
彼が寒くなく会社に行けるかもしれないのに、それを無駄にしてしまいそうになったのだ。
でも…どうしよう。
こんなにぐっすり眠っているのに起こすのは忍びなかった。
やっぱり、いつも通りの時間に起こそうかな。
結局、それ以上強気になれずに部屋を出て行こうかと思った。
「……!」
しかし、驚いて動きを止める。
ぱちっと――目が開いたのだ。何の前触れもなく。
あ。
ど、ど、ど、どうしようー!!!!
まさか、こんなことになるなんて思っていなくて、パニックになった。
せっかく心で決着しかけた予定が、いきなり狂ってしまったのである。
混乱したままでいると、カイトは何度か瞬きをした。
それから、焦点を合わせるように目を細めたのだ。
「あ…おはようございます」
相手が起きてしまってはしょうがない。
とりあえず、朝の挨拶にかかる。
布団の中から手が出てきて、自分の顔を一度強くなでる動きをした。
それから、ギシッとベッドをきしませる。
身体をよじって、枕元の時計を見たのだ。
ああー。
穴があったら入りたかった。
不審に思うのは間違いないかった。